視察・調査

EPOC資源循環分科会視察会
「資源循環の取組みと施設見学」報告書

《概要》

日時: 2025年10月27日(月)8:20 - 17:30
目的: サステナビリティを重視した環境配慮型工場、使用済み家電製品の資源循環の取り組み、 および廃棄物の全量資源化を達成する最新の技術や取り組みを直接見学し、各社取り組みの参考とする
視察先:
  1. 日東工業(株)瀬戸工場
  2. グリーンサイクル(株)
  3. 中部リサイクル(株)
参加者: 34名

《各施設の見学内容》

  1. 日東工業(株)瀬戸工場

    2024年4月に操業開始 配電盤、キャビネット、遮断機・開閉器、関連部品を製造する工場
    敷地面積:24万9千u、建物面積:5万u

    • 資源循環の取り組みとして、原材料板の端材極小化技術を徹底することで省資源化を推進。また、工場から排出する廃棄物を徹底的に分別・リサイクルすることで有価物として有用化を推進。
    • 一例として、取引先に協力を要請し、包装用軟質樹脂のラベルなど異物の貼付を無くし、単一素材として分別回収することで高度なマテリアルリサイクルを可能として有価物化する実証実験を、県と共同で実施。
    • さらに、使用済みの電気自動車リユースバッテリーを活用した自家消費型蓄電池システムを開発して販売すると同時に、工場へも導入。
    • カーボンニュートラルの取り組みでは、BELS評価(建築物省エネルギー性能表示制度)で最高ランクの5つ星を獲得するとともにZEB認証も取得。建物の屋上には1,312kWの太陽光パネルを設置し、空調・照明・生産設備へ電力を供給。また、工場正門付近の緑地帯にも1,134kWの太陽光パネルを設置し、中津川工場へ電力を託送。
    • 太陽光パネル未設置の天井部分には天窓を設置し、自然光の採光による明るさの確保と、省エネ対策を実施している。
    包装用軟質樹脂
    自家消費型蓄電池

    林サステナビリティ推進室長からのご説明

    集合写真
  2. グリーンサイクル(株)

    家電リサイクル法に基づき、Bグループの家電4品目をリサイクルする専門工場。
    ちなみに、家電製品のうち、この4品目は重量比率80%を占め、銅、アルミなど希少な金属を多く含んでいることから対象と成っている。

    • 家電リサイクルは、メーカーごとに
      「Aグループ:パナソニック、東芝など」
      「Bグループ:日立、三菱、ソニー、シャープ、富士通ゼネラルなど」と分けており
      グリーンサイクル(株)は、ソニーグループの1員として、東海地方を中心としたエリアから集められるBグループ全社の使用済み廃家電のリサイクルを実施している。
    • 工場は7階建てビルとなっており、偶数階は見学デッキ、奇数階にて解体処理を実施。
      7階:ホール、見学デッキ
      5階:エアコン室内機の解体
      3階:冷蔵庫の解体
      1階:エアコン室外機及び洗濯機の解体
    • エアコン室内機、テレビなど基本的な作業は手解体による分別である。
    • エアコン室外機及び冷蔵庫に使用されるフロン、古い液晶テレビのバックライトに使用される蛍光管、ブラウン管テレビのブラウン管鉛ガラスも、適切に回収し処分している。
      冷蔵庫では、内部の樹脂ケース類、扉付近のパッキン(内部に磁石)、コンプレッサを外したのち、大型破砕機に投入し破砕後分別を実施。
    • グリーンサイクルでは、メーカーと協力してリサイクルのノウハウを次の製品づくりに活かす取り組みを行っており、設計者と一緒に考えることで、よりリサイクルし易い製品作りを目指している。

    7階ホールでの説明

    集合写真
  3. 中部リサイクル(株)

    自治体や産業廃棄物処理業者から委託された焼却灰等の溶融処理を行う工場で、溶融設備は、旧矢作製鉄(株)の溶融設備(1988年製)を継承し使用している。

    • 焼却灰等は貯留ホッパーから電気還元溶融炉に投入し、溶融する。
    • 溶融された焼却灰等は、溶融炉の上部に溶融スラグ、下部に比重の重い貴金属を含む溶融メタルが層を成すため、最初に下部の溶融メタルを耐熱容器に取り出した後、別の耐熱容器に溶融スラグを取り出す。
    • 溶融スラグは、空冷により時間をかけて冷却することで、大塊状の徐冷スラグが生成され、粉砕、粒度調整を行った上で溶融還元石として製品化している。
    • また、溶融メタルは、冷却後、非鉄原料として売却。
    • 溶融炉の排ガスから発生する溶融飛灰(溶融ばいじん)には、スラグ中から揮発した亜鉛・鉛をはじめとする重金属が含まれているため、回収し脱塩処理及び脱水処理を経て、亜鉛・鉛原料として売却し、全量リサイクルを達成している。

    営業部 竹内様からのご説明

    集合写真