視察・調査

2024年度 自然共生分科会 岐阜方面視察会
「当地域で認定された自然共生サイトの中での取り組みの好事例」実施報告

《概要》

日時: 2024年11月29日(金)8:00〜17:30
目的: 当地域で認定された「自然共生サイト」の中でも取り組みの好事例を視察、サイトの管理・運営者等から直接話を伺い自社の取り組みの参考とする
視察先:
  1. 豊田合成 樹守の里
  2. リコーえなの森
参加者: 41名

《各施設の見学内容》

  1. 『豊田合成 樹守の里』(岐阜県美濃加茂市山之上町)

     木曽川水系の荒廃した里山を豊田合成が借受け、地域行政、関係組織と従業員とその家族による里山整備、休耕田の復活、椎茸原木の育成、環境教育、ビオトープ設置(生物保全)を実施しています。
     森林整備は可茂森林組合に委託していますが、豊田合成従業員も年4回現地に来て整備を行っており、隣接する休耕田を活用した稲作や、2021年からはビオトープづくりにも取り組んでいます。
     藤井美濃加茂市長より「里山千年構想」のお話があり、里山整備のきっかけは有害鳥獣対策でしたが、現在では「里山整備」「里山活用」「資源活用」の3つに取り組んでいますとのことでした。
    岐阜県では県民協働による森林づくりの一環として、「企業との協働による森林づくり」を推進しています。「豊田合成 樹守の里」は民有林で、豊田合成、美濃加茂市、岐阜県で協定を締結しており、県内24例目となります。
     2019年の協定当初は2.7haでしたが、森林づくり活動への参加希望者が多いことなどから、隣接した箇所に活動範囲を拡大し、2020年に2.8ha、2023年に2.5ha、2024年に1.5haの拡張を行っております。


    藤井美濃加茂市長の説明

    参加者の集合写真

  2. 『リコーえなの森』(岐阜県恵那市長島町)

     2010年のCOP10をきっかけに調査を始め、2011年から社員ボランティアを中心に森づくりの活動がスタートしています。自治体・地域住民といった地域を主体とした様々なステークホルダーとリコーグループ社員が協働し、地域コミュニティの発展に貢献することを目的として、「ステークホルダー協働による森づくり」を行っています。
     現在、活動の主体はリコーから「リコーえなの森中山道里山協議会」へ移行していますが、視察では同協議会の方から様々な森づくりの活動について説明をいただきながら、実際にえなの森に入って活動内容を見学しました。
     活動拠点となるログハウス周辺で写真掲示板、インセクトホテル、ピザ窯、間伐材で作った薪、子どもたちが遊ぶことが出来るツリーハウスなどを見学しました。保全活動する前の手を付けていない森と間伐を終えた明るい森を見比べて多様な植生を確保できようになった事例紹介や、森づくりの活動で使用する作業用の管理道路の必要性についての紹介がありました。
     かつては田んぼであったところがせきとめられてできた湿地では、湿性植物の解説をいただくとともに、大雨大水があると土砂でせき止められるので定期的な浚渫作業が必要となるといった管理の重要性についての説明もいただきました。
    森の中で間伐が進み一定程度の広さとなった場所は、ヨガや森林浴の活動場所として活用されており、フィトンチッド(樹木などが発散する香り成分)についての説明がありました。
     森の奥にある旧中山道の槙ヶ根一里塚まで足を延ばし、リコーえなの森の広大さと歴史を感じる視察となりました。


    森づくりについての説明

    森に入って活動内容を現認