視察・調査

EPOC視察(企画活動)「北海道地区エネルギー・環境関連施設の視察」

概要

日 時: 2016年10月13日(木曜日)〜10月14日(金曜日)
目 的: 地球温暖化防止には、原子力エネルギー、再生可能エネルギーの活用が不可欠と いう観点から、原子力発電の課題の一つである高レベル放射性廃棄物の地層処分 の研究開発とともに、大規模風力発電所、再生可能エネルギー発電の大量導入に 対応する電力系統安定化の実証研究の現地を視察。また、ラムサール条約に登録 のウトナイ湖を視察し、自然環境保全への理解を深める。  
視察先: 1.日本原子力研究開発機構 幌延深地層研究センター様
2.(株)ユーラスエナジー宗谷 宗谷岬ウインドファーム様
3.北海道電力(株)様
4.ウトナイ湖野生鳥獣保護センター様
参加者: 18名(企画調整委員会メンバー会社)

各施設の見学内容


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    1.日本原子力研究開発機構 幌延深地層研究センター様


    幌延深地層研究センター様では、原子力発電の使用済燃料を再処理した際に発生する高レベル放射性廃棄物を安全に処分するための地層処分技術に関する研究開発として、地層科学研究や地層処分研究を行っています。
    地層科学研究では、「地下はどうなっているのか」、「なぜそんな仕組みになっているのか」そして「将来はどうなるのか」を明らかにするための研究で、地下水や岩盤などの性質調査を通じて地下深層部の地質環境を把握するための技術開発を行っています。 地層処分研究では、実際に地下深層部で地層処分システムの設計・施工が可能かどうかを確認し、工学的技術とともに安全性を評価する技術を高めています。
    当日は、深度350mの坑道での地下深層部の研究調査の現場や、地上施設の地層処分実規模試験施設で高レベル放射性廃棄物の地層処分について具体的な方法などを視察し、 地層処分やその信頼性を高める技術研究の取り組みについて理解を深めました。

    深度350m地下坑道での地層研究/地層処分の実物大模型

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    2.(株)ユーラスエナジー宗谷 宗谷岬ウインドファーム様


    宗谷岬ウインドファーム様は、日本最北に位置する宗谷丘陵の豊かな風資源を活かし、日本最大級の風力発電として2005年11月に操業を開始しました。 1,000kWの風力発電機57基を有し、年間の発電量は一般家庭48,000世帯分の消費電力量に相当、稚内市全体の約7割の消費電力量をまかなっており、発電に伴う二酸化炭素の排出量は、全電源の平均排出量に比べて約66,600t/年の削減効果が見込まれます。 また、宗谷丘陵は自然の宝庫といわれ、豊かな自然環境が広がっています。このため、各風力発電機から構内変電所、ならびに北海道電力へ連系する変電所までの送電線合計 約40kmは一部を除き全線地中埋設をし、できる限り自然環境への影響を軽減する配慮をしています。
    当日は、宗谷丘陵を駆け抜ける力強い風を受けて稼働する風力発電機を間近で見学し、北海道ならではの大規模な風力発電施設を体感し、理解を深めました。

    概要説明の様子/風力発電設備の見学

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    3.北海道電力(株)様


    北海道電力(株)様の南早来変電所では、住友化学工業と共同で国に応募し採択された「大型蓄電池システム緊急実証事業」を行っています。
    2015年12月に竣工し、再生可能エネルギーの出力変動に対する調整力としての性能実証、および最適な制御技術の開発をしています。(実証期間2013年〜2018年度)系統用蓄電池として、出力15,000kW、蓄電容量60,000kWhのレドックスフロー電池を採用しており、風力、太陽光発電の出力状況を把握し、かつ電力系統の周波数維持を担ってきた火力や水力発電などの既存電源と協調して蓄電池の制御を行う、蓄電池制御システムの開発、改良を行っています。
    当日は、風力、太陽光発電などの再生可能エネルギーが供給力全体の約3割を占め、この出力変動による電力系統への影響が甚大となっている北海道電力の現状を伺った後に大容量蓄電池システムを見学し、再生可能エネルギーの拡大により生じる影響とその対応策となる大型蓄電池システムの実証研究について、理解を深めました。

    概要説明の様子/大型蓄電池システムの見学

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    4.ウトナイ湖野生鳥獣保護センター様


    ウトナイ湖は、水鳥の重要な中継地として日本で4番目にラムサール条約に登録された湿地帯です。ウトナイ湖野生鳥獣保護センターは、ビジターセンター的機能を有し、 自然環境や野生鳥獣について、展示、解説や情報提供を行うほか、野生鳥獣との適正なふれあい方や自然保護思想の啓発、自然環境についての教育の場となっています。
    当日は、夕暮れ時の幻想的なウトナイ湖に渡りの中継地として休息する雁・鴨類や、こはくちょうを望遠鏡越しに観察し、豊かな自然と環境保全の重要性を体感しました。

    野鳥観察の様子/ウトナイ湖




視察を終えて

今回の視察では、原子力発電の使用済燃料を再処理する際に発生する高レベル放射性廃棄物の地層処分のほか、大規模風力発電所とともに再生可能エネルギー発電の大量導入に対応する電力系統の安定化のための実証研究など、最新の技術開発の現場を見学し、様々な課題や取り組みについて理解を深めることができました。
地球温暖化防止に向けて活用が不可欠である原子力エネルギー、再生可能エネルギーの現状や課題など、現場視察で得たものは多く、大変有意義な経験をすることができました。
最後になりますが、視察団を快く受け入れて頂いた各視察先様に、この場をお借りして御礼を申し上げますとともに、引き続きEPOCでは持続可能な経済社会の構築に向けた活動を展開してまいりますので、今後のみなさまのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

EPOC会長会社事務局(中部電力(株)環境・立地部)