3. 根羽村森林組合(製材工場、モデルハウス)
【概説】
根羽村は長野県下伊那郡にある人口千人ほどの山村です。414世帯すべてが森林組合に所属し、林業を営んでいます。親が植え、子が育て、孫が伐る「親子三世代の山づくり」により良質なスギが多く取れる豊かな森を守っています。
村内に明治用水の水源となる矢作川の源流があり、大正3年に明治用水土地改良区が村内に427haの山林を購入。現在も森林経営を行っています。森林組合としては珍しく製材工場を持ち、伐採・搬出、製材加工、工務店への直送を一貫して行う「林業の6次産業化」に取り組むことで産業の活性化、村民の仕事確保にチャレンジしていました。
根羽村にも、輸入材に押されて製品が売れない時期がありました。製品が売れなければ林業は衰退、山が荒廃する現象はよく見られます。林業で生きていく決意をした根羽村は、真剣に林業再興に取り組みました。森林組合だけでなく木材の消費者(設計士等)も巻き込んで「なぜなぜ?」を繰り返し、「情報の疎通」と「品質」の向上に問題点があると気付きました。山元から(住宅を建設する)エンドユーザーまでの情報を森林組合へ一元化する仕組みを構築、さらには信州木材認証、JAS認証を取得したことで確かな品質を確保。根羽村林業を再興することができました。
【見学内容】
・モデルハウス
製材加工された「根羽杉」を使った住宅は森林組合の製品です。モデルハウスには、木をふんだんに使い、随所に木の加工の面白さを見せる意匠が採用されています。風呂桶、テーブルなどにも木が使われており、木造の魅力を十分に感じることができました。
設計事務所・工務店と連携し、マーケティング、商品開発、営業、普及啓発を統合して行えるため、コスト低減が実現。施主にとっても満足のいく住宅であることがわかりました。
<根羽杉を使ったモデルハウスを見学>
・製材工場
工程:製材⇒人工乾燥⇒養生(自然乾燥)⇒モルダー仕上げ(四面カンナ盤)⇒強度検査
製品:柱・梁等構造材、床板等
見学時にトラックによる原木(丸太)搬入があり、原材料搬入の様子から一貫した工程を見学できました。育った環境等により強度にバラツキが出るのが木材の特性ですが、それぞれにふさわしい材になるよう考えて木取りがされます。最終段階の強度検査もあり、一定した品質の製品が出荷されています。
邸宅管理システムにより、製品は建築現場へ直接配送されます。原材料から製品配送までが一貫しており、生産者の顔が見える安心の家づくりが行われていました。
<森林組合内の製材工場を見学>
【参加者の感想】
「林業の6次産業化の一例を実際に目で見られて有意義だった。製材工場を詳しくご案内いただき、丸太が製品となる工程がよくわかった。」
「待ちの姿勢でなく積極的に街(下流)の人々に売り込みを行っている(根羽村との交流も含めて)。その企画力に驚かされました。」
「上下流の交流、地域へのかかわりと地域に根付いた活動。林業を木材の生産から商品としての住宅まで一貫したところがよい。」