3.オムロン株式会社 野洲事業所
【概説】
同社はセンサーや制御機器、電子部品、医療機器、インフラシステム等で独自の高い技術力によりグローバル展開をされています。野洲事業所では、本業を行うことでいかに環境にやさしいものを作るか、という考えのもとで省エネなどに寄与する製品づくりをされています。
環境にやさしい事業所づくりの一環として、琵琶湖と共生した事業活動、環境関連活動の推進(自然保護セミナーや川の清掃など)、生物多様性保全への取組みを行われています。2010年には既存のビオトーブを自然の再生を目的に改修し、希少種となったイチモンジタナゴの保全に取組まれたことにより、「平成26年度しが生物多様性大賞」を受賞されています。
【見学内容】
野洲事業所では半導体の生産に大量の水を使用していますが、それらは排水処理された後に一部をビオトープとして利用されています。2010年より、従来からあったビオトープを「琵琶湖博物館」と「結(ゆい)社会デザイン事務所」の協力で植生も拡大した改修を行い、自然再生と希少種のイチモンジタナゴの保護に取組まれました。
イチモンジタナゴの保護は、NPO「ぼてじゃこトラスト」の協力で繁殖に欠かせないドブ貝(産卵貝となる二枚貝)やヨシノボリ(ドブ貝の幼生がえらに寄生する魚類)の生息環境も整えたことにより、初年度は200匹まで増やすことができたそうです。しかし、その後は成魚は生息しているものの繁殖が確認できないため、二枚貝の投入や池干し、水草の植栽など様々な条件変更を継続中とのことです。最近では、ビオトープに生息する昆虫も増え、希少種のコオイムシなども確認されているそうです。
ビオトープでの希少種保護、自生種の移植などによる社員の環境意識向上に加え、自然教育への積極的な取組みで、地域に貢献する取組みを見学できました。また、生物多様性保全に関する協働の形態が、ビオトープを通じて地元から全国的な交流へと発展し続けているというお話も聞くことができました。
【参加者の感想】
「見える化やイチモンジタナゴの保全は参考になりました。」
「ビオトープづくりがきっかけとなり、共働、連携の輪が広がった事は、企業にもメリットがあるのではないかと思います。ビオトープが比較的小規模であるので、これからビオトープを整備しようとする企業にとって参考になると思いました。また、生物相手の活動は思い通りにはいかないことも学べました。」
「イチモンジタナゴが2年目以降ふ化してないことは残念ですが、ビオトープとしては良いものが出来ているようなので、今後の動向が楽しみです。」