視察・調査

2014年度 循環型社会分科会視察調査

はじめに

地球環境保全への関心が高まる中、資源循環型社会の形成への期待も年々、膨らんできています。
今回、循環型社会分科会では、先進的な技術により循環型社会の構築に貢献されている企業3社を訪問し、資源循環や環境負荷低減の優れた技術や取り組みについて、現場視察を交えてご紹介頂きました。
見学会には多くのEPOC会員が参加され、循環(環境)ビジネスへのご理解をより一層深めて頂きました。

開催日時: 平成26年12月5日(金曜日)9時00分〜17時30分
見学先: 1.株式会社グリーンアローズ中部
2.日本環境安全事業株式会社(JESCO)豊田事業所
3.シーピーセンター株式会社
参加者: 33名

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    1.株式会社グリーンアローズ中部 (愛知県東海市)
    「廃石膏ボードリサイクル及びリサイクル固化材事業」


    【概説】
    同社は廃石膏ボードリサイクルの専門会社として、国内最大級の廃石膏ボードリサイクル施設にて廃石膏ボードから高品質なリサイクル原料を製造しています。今回は廃石膏ボードの受入、選別、破砕・磁気選別・ふるい分け、再生され、再び石膏ボード原料に生まれ変わるまで見学させて頂きました。また、同社の新規事業であるリサイクル固化材事業についてもご説明頂き、製造工場をご案内頂きました。


    【見学内容】
    はじめに、同社の会社概要及び廃石膏ボードリサイクル事業についてお話を伺いました。その後、廃石膏ボードの処理工場とリサイクル固化材製造工場を2グループにわかれ交替でご案内頂きました。廃石膏ボードの処理工場においては、建設現場や解体現場から回収された廃石膏ボードが大きく破砕された状態で高く積み上げられていました。それらは順次、独立した手選別ラインにおいて金属くずや木くずが取り除かれ、さらに精度の高い選別がされた後、最新鋭の設備による圧縮破砕、磁気選別、ふるい分けの工程を経て純度の高い粉と大型で良質な紙として生まれ変わる、と実際の作業現場にてご説明頂きました。
    また、リサイクル固化材製造工場においては固化材が廃石膏ボードから製造された廃石膏粉や製造工場副産物であるスラグ等の再生資源から製造されることや製造時には加熱・冷却等を行わないため省エネ及びCO2排出の削減に貢献していらっしゃる旨、ご説明いただきました。
    今回の見学会を通して、同社が目指している「環境リバリューストラクチャー」(社会的に不要になったり、負の環境影響を与えるものに対し、工夫を凝らし、再び価値をつける新しい仕組み)の実際の姿を現地現物で確認させて頂くことができました。

    工場前にて

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    2.日本環境安全事業株式会社(JESCO)豊田事業所
    「PCBの安全・確実な処理」


    【概説】
    同社はPCB廃棄物の処理という環境政策を担う機関として設立された特殊会社で愛知県・岐阜県・静岡県及び三重県内に存するPCB廃棄物(高圧トランス、高圧コンデンサ等の電気機器、廃PCB等のPCB)の適正処理事業を行っています。今回は処理工程を見学者通路から見学させて頂きました。


    【見学内容】
    はじめに、同社の会社概要、安全で確実なPCB廃棄物処理の概要及び施設内外における安全対策についてお話を伺いました。また、立地の理由や今後の処理計画、また、エリアごとに説明会を行い、合理的に対応できるよう配慮がなされている搬入計画についてもご説明頂きました。その後、2グループにわかれ交替で施設内のPCB廃棄物の処理工程を見学させて頂きました。搬入されたPCB廃棄物の受入・保管、抜油・解体、含侵物洗浄(撹拌洗浄)、非含侵物洗浄、PCB受入調整、PCB脱塩素化分解を各工程について丁寧にご説明頂きながら見学させて頂きました。情報公開ルームでは、PCBの処理についての説明や施設内で行うPCBの処理を見ることのできる画面が設置されており、また、施設内で今までに処理したPCB廃棄物や施設の各種モニタリング結果が表示されている情報公開PCが設置されており、事業内容について、見学者がいつでも情報が得られるようになっていました。今回の見学を通じて同社が安全で確実なPCB廃棄物の処理を行っていること、また、積極的に情報公開していることを現地現物で確認させて頂くことができました。
    ※平成26年12月24日に施工された「日本環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律」により、JESCOの社名は「中間貯蔵・環境安全事業株式会社」に変更されました。それに伴い事業所名称も「豊田PCB処理事業所」に変更となっています。尚、略称の「JESCO」はこれまでどおりです。

    プレゼンテーションルーム/情報公開ルーム

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    3.シーピーセンター株式会社
    「OA機器等の再資源化」


    【概説】
    同社はオフィス等から廃棄されるパソコン、IT機器を回収し個体管理を行うと共にセキュリティーの確保された工場内でデータ消去した後、徹底した分解選別作業を行うことにより部品を関連企業に出荷するシステムを構築されました。今回はスマートフォン、タブレットのデータ消去を含む工程を見学させて頂きました。


    【見学内容】
    はじめに、同社の概要、徹底した管理のもとで行われるデータ消去、OA機器の再資源化及び地域との連携についてお話を伺いました。OA機器のデータ消去については、セキュリティー管理の確保されたエリアにおいて、最新のバーコードシステムによりすべての工程の一元管理を実現していること、また、解体、分別の工程を経て、再び資源として極限まで再生させるという循環型社会の最先端の取り組みをしていることをご説明頂きました。その後、2グループにわかれ交替でデータ処理の工程の現場と解体・分別の工程の現場を丁寧にご案内頂きました。解体・分別の工程では、パソコンの解体現場及び解体されたパソコンの部品ひとつひとつを実際に見せて頂きました。また、データ処理の現場では、実際に同社の粉砕機を使用した携帯電話と記憶媒体の処理工程を見せて頂き、その処理スピードの速さと粉砕の細かさに参加者からは感嘆の声があがっていました。また、OA機器以外についてもリサイクル率を上げるため新品PCの梱包材である発泡スチロールを加工していることについても現場にてご説明頂きました。今回の見学を通じて、同社のリサイクル及びセキュリティーの技術の高さと環境への取り組みへの熱意を現地現物で認識することができました。

    概要説明/会議室にて