視察・調査

2011年度 第4回循環ビジネス創出会議(現地見学会)

【はじめに】

今回は、「2011愛知環境賞」を受賞された企業2社と低炭素に取り組む施設園芸の協議会を訪問し、資源循環や環境負荷低減の優れた技術や取り組みについて、現場視察を交えてご紹介いただきました。
見学会では、参加されたEPOC会員、一般応募企業、自治体関係者より、活発なご意見・ご質問を頂戴し、循環(環境)ビジネスへのご理解をより一層深めていただきました。


開催日時 平成23年12月20日(火曜日)
見学先 [1]三菱自動車工業株式会社 名古屋製作所 技術センター岡崎地区
[2]株式会社木化学研究所 片寄工場
[3]田原市低炭素施設園芸モデルハウス
参加者 41名

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    [1]三菱自動車工業株式会社 名古屋製作所 技術センター岡崎地区≪岡崎市橋目町≫
    「新世代電気自動車『i-MiEV』」
    〜2011愛知環境賞 金賞受賞〜

    【概説】
    同社は、長年の研究開発を経て、電池の重量、充電時間、航続距離など従来の課題を飛躍的に改善し、世界初の量産型電気自動車を市場投入したことにより、低炭素社会に向けた自動車づくりに大きく貢献されました。

    【見学内容】
    60年代後半、大気汚染対応で電気自動車の開発が始まり、温暖化・脱石油への対応も踏まえながら開発を進めていらっしゃるというお話から始まり、トラクション制御システムが電気自動車では不要になることや、寒冷地でも使えるように電圧を設計している、といった専門的なお話を、わかりやすく説明していただきました。
    3月の震災を受け、ガソリンよりも電気の必要性が注目され、放電機能も盛り込んだ電気自動車を目指すなど、まだまだ進化し続けておられることを実感しました。
    説明の後、環境車両の展示を見学しました。車両を下からのぞき込んだり、乗り込んだりしながら、現物に触れることができました。

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    [2]株式会社木化学研究所 片寄工場≪岡崎市片寄町≫
    「廃ペットボトルを原料とした、混練紡糸技術により省資源・省エネを実現する自動車用着色難燃繊維の実用化」
    〜2011愛知環境賞 銅賞受賞〜

    【概説】
    同社は独自の技術により、廃ペットボトルを原料とした、省エネ、省資源、軽量化及びリサイクル性に優れた高機能性着色難燃繊維を開発し、実用化されました。

    【見学内容】
    初めに、リサイクルに取組んできた同社の歴史についてご説明いただきました。創業以来60年、資源のない日本では資源を再生して使うことは当然という信念を持ち続けていらっしゃるそうです。最近は自動車用内装材などに多く使われ、難燃性と軽量化を実現させるために繊維に樹脂層を織り込んだり、日々研究開発に取組まれているそうです。また、企業ブランドを構築したり、特許を戦略的に取得したりと、とても意欲的にリサイクルに取組まれている様子が伝わってきました。
    説明の後、工場内を見学しました。ペットボトルのフレークが繊維に糸になっていく様子をみることができました。糸を細く伸ばすために小さい穴が無数に開いた金型を間近で見せていただき、技術の高さに改めて驚きました。

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    [3]田原市低炭素施設園芸モデルハウス≪田原市大久保町≫
    「田原市低炭素施設園芸づくり協議会の取り組み」

    【概説】
    農業の盛んな田原市で、市・農協・企業・大学が一体となって協議会を構成し、最先端の施設園芸を目指して栽培実証に取組んでおられます。

    【見学内容】
    まず、協議会についてご説明をいただきました。原油高の際に、原油を使わない施設園芸を目指すことになったそうです。その後、CO2削減要請を国から受け、低炭素施設園芸づくり協議会が設立されました。電照菊の栽培に使用していた白熱灯が生産中止になり、LEDを使わざるをえなくなりましたが、菊への影響が心配で一農家では踏み切れません。そこでモデルハウスで実証栽培を行い、農家への普及を目指しています。モデルハウスでは、太陽光発電、ヒートポンプを導入。ハウスの外壁には複層化フィルムを使用して高断熱化。田原市は日照量が多く、恵まれた地域であることも手伝って、年間87%のCO2削減効果が見込まれます。自然豊かな地域で、自然の力を利用した施設園芸は「持続可能な社会」のとてもよい例であると感じました。