1.川崎バイオマス発電株式会社
(神奈川県川崎市川崎区扇町12番6号)
【概説】
(1)バイオマス発電
川崎バイオマス発電所は建築廃材等の木質バイオマス燃料を利用した出力33,000kWの国内最大のバイオマス専焼発電所です。川崎バイオマス発電の年間販売電力量は約1億7,800万kWhにのぼり、それは一般家庭約38,000世帯が1年間に使用する電力量に相当します。CO2フリー(カーボンニュートラル)の電力供給による地球温暖化防止と川崎市の厳しい環境規制を高いレベルでクリアした環境設備を有する「都市型バイオマス発電所」として大気環境の保全に努めています。また、従来は産業廃棄物として処理されていた建築廃材等を燃料として利用することで資源リサイクルにも積極的に貢献しています。
(2)カーボンニュートラル(CO2フリー)
川崎バイオマス発電所は石油・石炭等の化石燃料を使用せず、木質バイオマス燃料を利用するバイオマス専焼発電設備でCO2フリー電気を供給する環境にやさしい発電設備です。川崎バイオマス発電所で電気を作ることで、年間約12万tのCO2を削減することができます。発電所で利用する木質バイオマス燃料
は周辺地域で発生する建設廃材、間伐材、樹木の剪定枝等から作られた木質チップを利用します。これらの樹木は成長の過程において光合成により大気中のCO2を吸収して酸素を生産しています。バイオマス燃料を燃焼させるときに発生するCO2はもともと大気中から樹木が吸収していたものが大気中に戻るだけなので大気中のCO2濃度に影響を与えるものではありません。これがカーボンニュートラルの概念です。
(3)環境設備
川崎バイオマス発電所は、川崎市の厳しい環境基準をクリアするため、排煙脱硫装置や排煙脱硝装置、バグフィルターといった環境設備を備えた国内唯一の「都市型バイオマス発電所」です。住宅需要が多い都市部では、建設廃材等が多く発生します。従来は焼却処分されていたこれらの資源をバイオマス燃料として発電向けに利用することで、燃焼時に生じる熱エネルギーを利活用する「サーマルリサイクル」を都市部で促進しています。川崎バイオマス発電所の環境設備には下記のものがあります。
排煙脱硫装置 |
燃焼時に発生するSOx(硫黄酸化物)を無害化し排出量を3ppm以下まで削減 |
排煙脱硝装置 |
燃焼時に発生するNOx(窒素酸化物)を無害化し排出量を30ppm以下まで削減 |
バグフィルター |
排気ガス中のダスト(ばいじん)を除去し、排出量を7.4mg/Nm3以下まで削減 |
ボイラ |
環境負荷の小さい循環流動層ボイラを採用 |
タービン |
軸流式抽気復水タービンを採用し発電効率を向上 |
チップヤード |
安定した発電所の稼動のため最大6,000t(約10日分)の燃料を保管 |