(1) スーパーグリーンファクトリー
シャープ亀山工場は、液晶パネルから液晶テレビの組み立てまで一貫生産する世界初の画期的な垂直統合型工場である。一定水準の環境配慮性を備えた生産工場を「グリーンファクトリー(GF)」と定義し、10のコンセプト(温室効果ガス、エネルギー、廃棄物、資源、化学物質、大気・水・土壌、自然共生、地域共生、環境意識、情報開示)をもとに基本方針とノウハウを示したGFガイドラインを、国内は1999年度から、海外は2001年からすべての生産工場に導入している。国内では、亀山工場の建設を機に、極めて環境配慮性の高い生産工場を「スーパーグリーンファクトリー(SGF)」として、独自の評価基準のもとに社内認定する取組を2003年度から開始した。亀山工場はその第1号である。2009年度末現在、国内外合わせて38 の生産工場のうち、24工場がSGFを達成した。
(2) 太陽光発電
シャープは、太陽光発電について40年以上の歴史と実績をもち、7年連続生産量世界No.1である。自ら太陽光発電システムでエネルギーを作り出す「創エネ」を実践すべきと考え、亀山工場では一般家庭の約1,300軒相当分、5,210kWの太陽光発電を行っている。亀山工場の正面には、液晶テレビ「AQUOS」を模したデザインの採光型太陽電池モジュールが設置されており、「創エネ」と「省エネ」の融合を象徴している。
(3) コジェネレーションシステム
LNG(液化天然ガス)を用いて、第1工場は約12,000キロワット、第2工場は約28,000キロワット、合計約40,000キロワットを自家発電し、その際に発生する廃熱を冷暖房や給湯などに利用している。その供給量は工場全体の3分の1の電力を占める。火力発電によるエネルギー供給方法に比べてエネルギー利用効率が高く、CO2の排出量を大幅に削減している。またLNGは、ガス会社と直結したパイプライン(鈴鹿市から亀山市まで全長17キロメートル)で供給されるため、燃料輸送車の往復による排気ガスも発生していない。
(4) 水資源
液晶パネル工場ではマザーガラスの洗浄など製造工程に大量の水を必要とする。そこで亀山工場では製造工程排水を100%浄化するリサイクルシステムを導入し環境に配慮している。バイオ技術を利用した排水回収プラントを設置し、1日最大48,300トンを浄化し、再利用している。また、排水処理で悪臭が発生しないよう、北海道の石狩川で採れるピートモス(水苔が堆積して地中で炭化したもの)を利用した生物脱臭によりニオイを分解、水処理工程で発生する有機汚泥も減量化設備を導入し、排出量を抑制している。
(5) 超電導電力貯蔵装置
落雷などによる瞬間的な電圧の低下(瞬低)対策として、超電導コイルを-269℃に冷却し、コイルの電気抵抗をゼロにし、電気エネルギーを磁気エネルギーにして電力を貯蔵している。10,000キロワットの超電導電力貯蔵装置の導入により大電流を瞬時に出力し、電圧低下による影響を防ぐことができる。