視察・調査

第25回EPOC視察調査「先進的リサイクル事業」

  • 開催日:平成20年2月14日(木)
  • 参加者:50名
  • 視察先:
    1. トーエイ株式会社:難用途開発の廃色付きガラスびん及び陶磁器リサイクル事業
    2. サンエイ株式会社:空港島地域における一元的な廃棄物回収とリサイクル事業
    3. 株式会社INAX:住宅リフォーム廃材を中心とした住宅設備機器の回収・循環事業
I.トーエイ株式会社

訪問した会社は下流部分の環境事業を展開する中で、廃棄されるガラスくず、陶磁器くず等についてリサイクル可能な事業展開を模索していたが、千葉県銚子市のガラスリソーシング(株)が開発した施設視察を行い、周辺技術について検討の結果この技術導入に踏み切ることにした。ガラスくずの再生利用の道を選択し、平成17年9月にリサイクル工場を完成させ、事業展開に乗り出している。

工場建設のコンセプトは外部から見える施設を目指し、ショールームを設置するなど、環境保全事業について理解を得ることを目的として建設されている。事前協議から工場建設が承認されるまでに約10ヶ月を要している。

なお、平成12年にはISO14001を取得するなど、事業展開に当たっての配慮がなされている。

ガラスくずの処理規模は400t/日であるが、現状は100t/日に留まっている。処理工程は投入後5分で製品が出される。製品は危険の無いように砕く工程が含まれ、この工程が付加価値を付けている。この製品を活用する用途は多様な展開が可能であるが、雨水貯留層として活用することで洪水対策、都市内の環境気温低減の効果、酸性雨対策にも有効な機能を有するとの実証実験結果もある。再生商品は「sandwaveG(通常:サンドウェーブG)」と名づけた。無色や茶色のガラス素材は色分別されガラス原料として回収されるため、再生製品の色は緑っぽい性状である。現在のサイズは、0〜5mm(サンドコンパクションのパイル砂相当で設定)、5〜10mm(7号砕石相当)の2種類である。陶器類からの製品は透水性が落ちると言うことから、分別処理を行っている。

処理対象範囲は静岡県以西、兵庫県以東、新潟県以南、和歌山県以北の範囲をカバーしており、現在では82行政団体の廃棄物を収集している。なお同様の施設については現在、山口県内に一工場あり、新たに秋田県内でも工場建設が進められている。この企業は様々なリサイクル事業を展開して来ており、本事業の規模の占める割合は5%程度である。

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II.サンエイ株式会社

中部国際空港(株)は設立当初からISO14001を取得しており、自然のエネルギーの活用や、ユニバーサルデザインに配慮する(総理大臣賞受賞)など、他の航空施設とは異なるコンセプトで構成された未来志向を目指している。

訪問した会社は、中部国際空港島内にあり、島内から発生する廃棄物の収集から再生利用の事業を一元的に展開する事業所である。当社は様々な事業を展開しており、島内における事業の全体に占める量は1%未満程度である。

中部国際空港(株)は平成19年の愛知環境賞の金賞を受賞しているが、この受賞に当たってこの会社の果たした役割は大きいものとなっている。

中部国際空港株式会社が島内から発生する廃棄物を一元的に処理を行う事業者を決定するに当たり、プロポーザル方式を用いた。当初の応募企業は17社、書類審査により5社に絞られ、最終的にはサンエイ株式会社の提案内容が評価、採択されて、平成15年6月に基本協定書を締結、事業展開に至った。

 今回の視察では一般廃棄物を対象とした企業であり、産業廃棄物は別の仕組みで刈谷市内に設置された溶融施設で処理がなされている。

施設内の分別施設の処理能力は4.88t/8時間、缶類の選別圧縮設備の処理能力は0.12t/1時間である。

ここでの収集ごみ量は約5,300t/年あります。そのうち航空機からの排出量は1,300t/年であるが全てリサイクルセンターへ持ち込み分別されている。また刈草(400t/年、発生する時期は集中している)、生ごみ(430t/年発生)は、リサイクルセンター施設内の炭化装置(1.62t/日×2基)で処理し、重量比で2割程度に減容化され、炭化物は助燃材として刈谷市内にあるサンエイ株式会社溶融炉で再利用されている。島内の草の選定に当たっては、暑さに強いこと、塩分に強いこと、成長が遅いことなどの条件で選定されて植栽されているが、炭化処理以外の方法での再利用を検討する価値はあるように思われる。

島内に立地している各企業・テナントには、分別協力を依頼し、処理開始当初(2005年)では37.4%であったが、徐々に向上しており現状のリサイクル率は2007年1月で49.6%(最終では50.1%になると予測されている)を達成している。限られた地域でのリサイクル事業は徹底した企業努力と事業展開で実施されることが証明された。

ゴミ袋は有料で配布しており、得られた資金は施設運営費に充当している。また、全国の空港では分別処理は為されておらず、分別収集体系を導入したのは中部国際空港が初めてである。

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III.株式会社INAX

INAXエコセンター常滑は、2007年4月より知多地区のリフォーム店、工事店他から発生するリフォーム廃材を自ら回収し、廃材の適正処理やリサイクルを行う目的で、リフォーム廃材回収循環事業(以下エコセンター事業という)を開始した。その社会的背景は、以下の3つが挙げられる。

  1. 処理コストの高騰対策【産廃税の導入や最終処分施設の許可件数の抑制による埋立て廃棄物の遠隔地運搬による処理費高騰に、事前対応】
  2. 建設系廃棄物の不法投棄の防止【自社ブランドイメージ失墜の防止】
  3. 異素材の複合品である住宅設備機器類のリサイクルの推進【企業の拡大生産者責任に事前対応】

一方社内的な背景は、INAXの環境取組みである「つくる」、「つかう」、「もどす」の内、「もどす」取組みを完成させるためであった。

リフォーム工事等から発生する廃棄物を適正に処理、リサイクルしていくには、それなりのノウハウが必要である。特に、エコセンター内の作業は、基本的には全て手作業で実施しているため、何をどこまで分解、分別するかが、この施設運営のノウハウである。 このエコセンター事業の収支は、約400m3/月(約80店舗分)の廃材を回収、処理すれば、ゼロになると見込んでいる。現在は、次の3つのコンセプトを掲げて知多地区のリフォーム店、工事店他へ廃材回収営業を実施している。

  1. 任せて安心
  2. 処理費用はそのまま
  3. エコ・コンサルタントを行い、リフォーム店他に新たな提案を行う

廃材回収エリアは、現在は知多地区及び名古屋市内だけであるが、将来的には全県を対象とし、さらに同じ仕組みを全国に展開したいと考えている。将来は、リフォーム工事で発生する廃材をまるごと処理するだけでなく、新築工事、解体工事の廃材も同様に処理し、住宅設備機器業界全体、またはリフォーム業界全体で、廃材の適正処理、リサイクルの促進を図っていく予定である。

 エコセンター常滑では現在12名が事業に従事しているが、そのうち事業推進担当者1名、現場管理者1名でエコセンター事業を推進している。

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