第24回EPOC視察調査 「鉄の町におけるリサイクル事業」報告書開催日平成18年11月24日 視察事先
参加者一般参加者 33名 事務局 3名 計36名 所 感新日鐵は原料の製造並びに加工を主に、愛知製鋼、大同特殊鋼はスクラップなどのくず鉄を原料とした製品加工を行っており、事業形態は異なる。大同特殊鋼のデータによれば、スクラップを利用する電気炉製造工程は、製鉄工程を1.00とした場合、炭酸ガスで0.30、エネルギーで0.25となっており、スクラップを活用する事業形態は環境にやさしい事業であるとしている。 各事業所でも廃棄物の減量化(ゼロエミッション)に取り組んでおり、無駄なものの排除に努め、工場内で様々な有効資源の流出防止をしながらこれらの材料のリサイクル事業を展開している。 各施設の見学に当たっては、説明並びに案内に相当神経を使っていることが感じられ、事業展開への熱意が伝わってきた。丁寧に対応していただきました関係者の皆様に感謝いたします。 各 論1.新日本製鐵株式会社名古屋製鐵所名古屋製鉄所は昭和33(1958)年東海製鉄として、その後富士製鉄と合併、昭和45(1970)年に新日本製鐵設立とともに現在の名古屋製鉄所となっている。また、現在のような製鉄一貫工場になったのは高炉稼動開始がなされた昭和39(1964)年である。 視察対象の事業は、容器包装リサイクル法の施行に伴い市町村から排出されるプラスチックの処分並びに再生利用のケミカルリサイクル事業を平成12(2000)年8月から開始している。能力年間5万トンに対して現状では4万トンを処理している。 前処理施設の各工程は機械で実施されている。問題点としては、磁気テープの混入により鉄の分別工程で機械に絡まり、これらの除去が課題である。また、アルミ選別の工程では感度が高い場合には容器内のアルミ加工が検出されるため、微量な物は後工程に支障が無いことから、感度を落として操作するように変更している。 説明を受けた場所は製鉄公園のゲストホールであるが、この場所は事業所内への水を送る浄水場が併設されており、ここでは供給水源・佐布里池との落差を利用した水力発電を行っている。 製鐵所内で発生する副生物などは再生利用を推進している。すなわち、水成スラグをセメント骨材としての利用、大量に利用されている冷却水の再生利用などはいうまでもなく、様々な試みがなされている。
2.愛知製鋼株式会社鍛造技術の館で展示されているのは、クランク・シャフトの製造工程の歴史と技術的な変遷、現在利用されている部品の展示説明である。最初の自動車は大正13(1924)年で、大量生産されたのは昭和11(1936)年、最初のクラウンは昭和30(1955)年である。これらの心臓部のクランク・シャフトは製造工程に大きな改革がなされ、その性能が高められたことが良くわかる仕組みになっていた。 愛知製鋼株式会社は昭和15(1940)年、豊田自動織機から分離・独立された会社であり、自動車部品を中心に当地区で活躍している法人である。なお、トヨタ自動車は昭和12(1937)年に豊田自動織機から分離・独立している。 原料はスクラップであり、電気炉が主であり、これらの原料による製品を生産している。 廃棄物量を見ると、当初は年間5.8万トンであったものが、現在では0.13万トン、目標年次2010年では0.116トンを目指して各工程の改善に努めている。現在のリサイクル率を見ると、 説明の最後に、減量化、再利用を進めているが、少量のものでも利用先があったら紹介して戴くよう依頼があった。 特に環境改善には力を入れているが、そのひとつとしてリサイクル製品として土壌活性剤「鉄力あぐり」(500g/1.5m2)を製造、販売している。 3.大同エコメット株式会社当事業所は大同特殊鋼知多工場内に建設されたリサイクル施設を管理している法人であり、施設見学に先立ち、大同特殊鋼の事業内容の説明を受けた後に、対象施設の説明を受け、その後に施設を見学した。 大同特殊鋼の製造工程はスクラップを原料としている。ここでは月間62万トンの副生物が発生するが、スラグが大半であるが、その89%はリサイクルしており、その大半が路盤材として利用されている。1.9万トン埋め立てされている。2008年には月間200トンに減量化としている。 リサイクル事業は以下の2工程で構成された設備である。
DSMは平成8(1996)年に開発されている設備である。この設備は、一般ダスト、還元ダストを対象に実施しており、基本的には溶融炉である。この主工程は、上部の特殊な口から粉体状のダストを落として反応させて、骨材と亜鉛原料粉に変換しており、これらを製品として売却するものである。 DSRはあいちエコタウンプランの一環として事業化したもので、平成17(2005)年に設置された設備である。設備本体は先のDSMと同じ構成であるが、対象物が水分を含んでいるため、前処理として乾燥工程、排ガス対策としての脱硫工程を併設している。最終製品は溶融スラグであり、骨材としての利用を考えている。この事業の立ち上げで特に注目した工程は貴重な資源としてのニッケルの回収を行うことである。 ニッケル回収の目標数値は原料中の含有量3%のものを7〜14%に上げることであるが、現状ではまだ達成されていない。
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