セミナー

2023年度 環境経営分科会
 第3回EPOC環境経営先進セミナー
 「サプライチェーンでのカーボンニュートラルの動向と企業の取り組み事例」


はじめに

 グローバルでのカーボンニュートラルの動きが加速する中、サプライチェーンでの取り組みも重要になっています。今回のセミナーでは、カーボンニュートラルの最新動向および調達や輸送部門の企業の取り組み事例についての講演、そしてパネルディスカッションにて、それぞれの立場からの意見交換を行いました。

開催日時 2024年3月11日(月) 14:00~17:00
形式 ハイブリッド(会場/ヤマザキマザックアートプラザ4F会議室+Web会議)
参加者 計198名(見逃し配信含む)

プログラム

講演Ⅰ 「サプライチェーンにおけるカーボンニュートラルの最新動向」

 

【講師】
  株式会社フロンティアワン
   代表取締役 鍋野 敬一郎 氏


講演Ⅱ 「豊田通商のカーボンニュートラルへの取り組み」

 

【講師】
  豊田通商株式会社
   カーボンニュートラル推進部 CN連携グループ グループリーダー 鈴木 渉 氏


講演Ⅲ 「Scope3輸送カテゴリへの取り組み」

 

【講師】
  SBS東芝ロジスティクス株式会社
   安全品質統括部 部長 齋藤 謙之介 氏
  SBS東芝ロジスティクス株式会社
   4PLロジ部 参事 櫻山 哲 氏


講演概要

(講演Ⅰ)

 自動車業界やその関連業界の取り組みとサステナビリティ関連法令・規制についてご講演いただきました。


  1. 地球温暖化の現状
    温暖化対策のために企業にはサプライチェーンでのGHG削減が要請されています。国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)はScope3でのGHG排出量の開示義務化を決定し、日本では2026年3月期の有価証券報告書から開示要請の方針です。

  2. ESG最新トレンド(EUでのEV化の動向)
    EV普及は補助金削減などの影響で2024年は鈍化、さらに2035年ガソリン車ゼロ目標は自動車メーカーの意向を反映して合成燃料許容へ方針転換するなど今後も流動的です。
    また自動車のCFP算定のためにEUではCatena-Xというツールの標準化が検討されています。

  3. 欧米の最新動向
    EUではCSRD、バッテリー規則、国境炭素税(CBAM)などが2026年ごろから施行予定です。
    米国では商工会議所がScope3開示義務については撤回要求を提出とのことでEUとの温度差があります。

講師の鍋野氏

講師の鍋野氏


(講演Ⅱ)

 豊田通商の環境への取り組み方針とScope3削減に向けた取り組みについてご講演いただきました。


  1. 全体像
    未来の子供たちへより良い地球環境を届けるために、リーディングCEプロバイダーを目指しています。Scope1+2において2030年50%減(2019年比) 2050年までにカーボンニュートラルという目標に向かって、①再エネのエネルギーマネジメント ②バッテリー ③水素・代替燃料 ④資源循環・3R ⑤Economy of Lifeという5つの機会を戦略として、各事業領域でWGを組織して活動しています。

  2. Scope3削減への課題
    ①サプライヤーの一次データ取得
    ②取扱い商材の削減対象拡張として、バージン材からリサイクル材への転換などの削減検討
    ③Scope3の削減を新たなビジネスの機会と捉えたアイデアの実現 (リサイクル事業など)

  3. 社内施策
    自社GHG削減のために、脱炭素設備投資助成制度と社内炭素価格制度を導入しています。
    また、GHG可視化のための“Zeroboard”活用、有識者とCNの対話会の開催、従業員の意識変容を促すための社内CNアプリの導入などの施策を行って、全社でCNへ向けて取り組んでいます。


講師の鈴木氏
講師の鈴木氏

(講演Ⅲ)

 SBS東芝ロジスティクスのカーボンニュートラルへの取り組みについて日本ガイシでの事例を挙げながらご講演いただきました。


  1. グループ紹介
    SBS東芝ロジスティクスは、1974年設立、売上高1,131億円で全国内にネットワークをもち、倉庫226,000坪、運行車両1,700車/日で輸送事業を行っています。発電機器・輸送機器などの重量物や家電関連や電子部品関連などを扱っています。

  2. カーボンニュートラルへの取り組み
    中期経営計画『SBS Next Stage 2025』の中でマテリアリティとして安全、環境、人材を定義しました。環境おいては、①次世代自動車の導入、燃費改善への取り組み ②LT・IT(物流DX)を活用した物流施設の提供 ③温室効果ガス排出削減 に取り組んでいます。

  3. 日本ガイシでの取り組み事例
    2022年から東芝ロジスティックスが日本ガイシの物流と連携を開始し、輸送業務の改善とともにScope3のカテゴリー4(輸送)のGHG排出量把握に着手しました。国内外の輸送においてGHG排出削減の取り組みを行っており、例えば港の出発地を変えて海上輸送距離の短縮化、コンテナの他社との共用や鉄道輸送への積極活用によるモーダルシフトなどにより、大きな削減実績をあげています。これからは海外輸送についても、見える化と削減の取り組みを行っていくことでカーボンニュートラルへ寄与します。


講師の斎藤氏

講師の櫻山氏

以上