2023年度 環境経営分科会
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開催日時 | : | 2023年12月13日(水) 14:00~17:00 |
形式 | : | ハイブリッド(会場/TKPガーデンシティPREMIUM名古屋駅前+Web会議) |
参加者 | : | 計185名(見逃し配信含む) |
プログラム
講演Ⅰ 「TCFD開示へのアドバイスについて」
【講師】
株式会社野村総合研究所
上級研究員 三井 千絵 氏
講演Ⅱ 「日立グループの環境経営とTCFDに基づく情報開示」
【講師】
株式会社日立製作所
サステナビリティ推進本部企画部 部長代理 長岡 康範 氏
講演Ⅲ 「積水化学グループの環境経営におけるTCFDの活用」
【講師】
積水化学工業株式会社
ESG経営推進部 担当部長 三浦 仁美 氏
講演概要
(講演Ⅰ)
世界のTCFDを取り巻く動向や投資家のTCFD開示の活用方法について、ご講演いただきました。
- TCFDを取り巻く動向
2024年より、TCFDの活動は、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)に引き継がれる予定です。米国では2022年SECが規制開示に環境に関する項目を追加する改訂案を提示し、EUでは2024年から順次適用されるEU開示基準にTCFDの要件を取り入れています。一方PRI(国連投資原則)から金融機関に対してTCFDに基づく開示が要請されています。 - 投資家にとってのTCFD開示情報の使い方
国内外の様々な投資家へのアンケートの結果、以下のような意見が寄せられました。
- 経営陣のリスクに対する考え方や将来の経営に対する考え方を知るために有意義である。
- 投資家自らのカーボンフットプリントの算出に活用している。
- シナリオとの整合性への懸念やグリーンウォッシュとみられる開示ならエンゲージメントで確認し、場合によっては、議決権行使による経営方針への反対や投資対象から除外への動きにつながる。
講師の三井氏 |
(講演Ⅱ)
日立グループの環境への取り組みと長年取り組まれているTCFD開示のポイントについてご講演いただきました。
- 日立の環境戦略
2000年から環境報告書を開示し、2016年に日立環境イノベーション2050を発表しました。この中で、脱炭素社会では2050年ネットゼロの達成、高度循環型社会では水の効率改善50%(2010年度比)、自然共生社会では自然資本へのインパクト最小化を目標に掲げています。 - TCFD開示に至る経緯
2010年CDP気候変動のQ&Aを通じて気候変動リスクの開示の重要性を認識し、各事業部門にリスクと機会の分析を要請し、2014年のサステナビリティレポートからリスク開示を開始しました。そして2018年にTCFDに賛同し、サステナビリティレポートにTCFDに基づく開示を開始しました。 - サステナビリティレポート2023での日立のTCFD開示
サステナビリティレポート2023での開示については、各運用機関から「優れたTCFD開示の4社」として選定いただきました。また、2023年3月末の有価証券報告書では、2ページにわたりTCFDに基づく開示を掲載しました。
講師の長岡氏 |
(講演Ⅲ)
積水化学のサステナビリティ経営についての方針と戦略、そして情報開示についてご講演いただきました。
- ◆ESG経営
ESG経営を実行することで、「グループの持続的な成長」と「サステナブルな社会の実現」の好循環が生まれます。ESG経営に必要な7つの要素は、①創業理念、②企業の存在意義(パーパス)、③マテリアリティとKPI、④業容、⑤グローバル展開、⑥企業⇔社会相互のインパクト、⑦マルチステークホルダーとの情報開示と対話です。この中で⑦が、まさにTCFD開示の取り組みです。 - ◆気候変動対応戦略の要素
「SEKISUI環境サステナビルビジョン2050」では、サステナビリティ貢献製品の市場拡大と創出、環境負荷の低減、環境の保全の3つの視点で戦略を策定しました。
この中で、サステナビリティ貢献製品については、例えばペロブスカイト太陽電池やプラスティックごみからエタノール生成する技術などを開発しています。また環境負荷の低減については、2050年までにGHG排出ゼロ、サーキュラーエコノミー、健全な水に満ちた社会の3つの目標を掲げています。 - ◆情報開示と対話
上記の取り組みと情報開示によって、世界経済フォーラムが選定するサステナビリティに優れた100社(Global100 INDEX)に選定されました。
講師の三浦氏 |
以上