2023年度 環境経営分科会
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開催日時 | : | 2023年7月25日(火) 14:10~16:50 |
形式 | : | ハイブリッド(会場/マザックアートプラザ+Web会議) |
参加者 | : | 計208名(見逃し配信含む) |
プログラム
講演Ⅰ 「SEC、CSRD、ISSBなどの国際的な開示枠組みについて」
【講師】
有限責任監査法人トーマツ
パートナー/斎藤 雄一 氏、シニアマネジャー/成田 祐三 氏
講演Ⅱ 「ネットゼロを目指す世界:~サプライチェーンのカスケードによる排出削減~」
【講師】
CDP Worldwide-Japan
リード、セールス&マーケティング/パートナーシップ 松川 恵美 氏
講演概要
(講演Ⅰ)
米国、欧州、およびグローバルの非財務情報の開示制度の動向と、各企業はどのような対応が必要となるのかについて、ご講演頂きました。
- サステナビリティ情報開示の重要性
世界経済フォーラムが公表している世界のリスクでは近年環境リスクが社会リスクなどより上位を占めており、中でも気候変動リスクが最重要となっています。そのため企業には気候変動対応についてTCFDをはじめとする様々な開示要請があります。さらには、EUでのCSRDのように環境以外でも人権などを含むESG全体のカテゴリーについての開示要請の動向もあります。そして機関投資家はESGを指向する企業への投資にシフトしています。 - サステナビリティ情報開示のグローバルの動向及びSEC、CSRD、ISSBの概要
欧米およびグローバルで以下3つの非財務情報の開示枠組みが進行中です。
- 米国ではSEC(アメリカ証券取引委員会)が米国上場企業に対して2023年度実績以降の気候変動への対応について開示要請の予定です。
- EUではEU委員会がCSRDという環境以外も含むESG全体での情報開示要請枠組みの施行されており、日本のEU域内の子会社も規模に応じて2025年度実績から対象となります。
- グローバルではIFRS(国際会計基準)が設立したISSBという枠組みがあり、将来TCFDなどの枠組みを統合する方針です。
企業の対応としては、特にScope3のデータ収集は難しいので大規模のデータ基盤の整備が必要であり、外部保証の準備を入念にすることが重要とのアドバイスがありました。
- CDP:グローバルな環境情報開示
CDPは2000年に英国で設立された国際的な環境非営利団体です。CDPは企業に対して気候変動などの環境に関する情報回答を要請し、その回答の評価がESG投資指標として重要な位置づけとなっています(2022年回答企業は約2万社)。 - CDP質問書の内容
CDPの質問書には、気候変動、水セキュリティ、森林の3つのカテゴリーがあり、気候変動はTCFDに沿った内容になっています。また水セキュリティは2024年からISSBの開示基準に沿った内容になる予定です。 - 重要性高まるサプライチェーンとの協働
GHG排出量はScope1,2よりもScope3が平均約11倍と大きく、SBTではScope3の削減目標開示も義務となっています。CDPで提供しているサプライチェーンプログラムはサプライヤー開示データを共有できるので、削減へのエンゲージメントに有効とのことです。 - 投資やファイナンスの動向
CDPデータに基づくESG関連金融商品の事例もあります。指標となるSPT(Sustainability Performance Target)には、エネルギー効率GHG排出量、再エネ導入量などがあります。 - もう一度振り返る気候変動の科学
ゲリラ豪雨や干ばつ、山火事など気候変動の深刻な影響が世界各地で認められています。IPCCが指摘している通り、我々は1.5℃目標達成に向けて継続的に取り組まなければならないということを再認識すべきです。 - EPOCに期待すること
最後にEPOCに期待することとして、開示をアクションに結び付けること、ネットゼロに整合する高い目標と明確な戦略を持つこと、サプライチェーンに対して積極的なエンゲージメントを実施し、強靭なサプライチェーンを構築するきっかけにしていただきたいと思います。
講師の斎藤氏 |
講師の成田氏 |
(講演Ⅱ)
CDPの内容、サプライチェーンでのGHG削減を推進することの重要性やCDPでの支援プログラムなどについてご紹介頂きました。
講師の松川氏 |
以上