2021年度 資源循環分科会
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開催日時 | : | 2021年7月15日(木)13:00~2021年12月14日(火)17:00 |
開催場所 | : | YouTube EPOCチャンネル |
参加者 | : | 延べ761名 |
プログラム
(1)開会挨拶
(2)講演
「欧州で広まる新しい経済政策『サーキュラーエコノミー』」
講師:Circular Initiatives&Partners 代表 安居 昭博 氏
(3)事例紹介(講演者より紹介)
・飲食業界「一流シェフが腕をふるう、廃棄食品レストラン」
・金融業界「メガバンク(ABN AMRO)による分解できる建築」
・アパレル業界「サーキュラー型プロダクトデザイン」
・建築業界「フローティング・コミュニティという海面上昇対策」
・通信業界「ユーザーが修理できるエシカルスマートフォン」
(4)プチエコツアー
講演
「欧州で広まる新しい経済政策『サーキュラーエコノミー』」
Circular Initiatives&Partners 代表 安居 昭博 氏
【講演要約】
世界人口増加による資源の枯渇や廃棄物・環境問題の影響度が増していることから、これまで当たり前と思われていた経済成長や資源の永続性についての世界の常識が大きく変化しており、近年では、資源を取って、作って、使って、捨てるという一方通行型の「リニア」エコノミーから、廃棄を出さない「サーキュラー」エコノミーへシフトしていることについてお話いただきました。また、サーキュラーエコノミーの考え方では、「デカップリング」と呼ばれる、経済成長を達成しつつ、環境への負荷は同時に少なくしていき、新たに使用する資源量を減らしていくような「経済成長」と「環境負荷」の分離が非常に重要であることをお話いただきました。現在、欧州委員会を中心に進められているサーキュラーエコノミー政策について、日本企業も率先的に取り組むことにより、欧州でのビジネスチャンスが大いに広まる可能性があることについても説明いただきました。今回は、サーキュラーエコノミーの考え方について、欧州委員会やオランダ政府の政策、オランダの自治体や企業の具体的な取り組み事例を交えて紹介いただきました。
事例紹介
・飲食業界「一流シェフが腕をふるう、廃棄食品レストラン」
【概要】
「INSTOCK」は、最大手スーパーマーケットの社内ビジネスコンテストから生まれた、地域のスーパーマーケットやベーカリーなどで廃棄される食材を一流シェフが調達・調理し、提供するレストランであり、リーズナブルな価格でランチやディナーを提供している。一般の方にも安く、美味しく食べてもらうことで、町で廃棄されている食材やフードロスの問題について関心を持ってもらうきっかけを生み出す場ともなっている。
・金融業界「メガバンク(ABN AMRO)による分解できる建築」
【概要】
オランダのメガバンクの一つであるABN AMROは、軍事産業からのダイベストメントをきっかけに、サーキュラーエコノミーやサスティナブルなビジネスへの融資や投資を始めており、「CIRCL」という複合施設を設立した。この施設は、設計段階からサーキュラーエコノミーに取り組み、解体時に分解、素材を再利用できるような設計を導入して建設された。
・アパレル業界「サーキュラー型プロダクトデザイン」
【概要】
オランダの企業がデザインした「MUD Jeans」は、月額制でリースできるサーキュラーエコノミー・ジーンズである。企業が使用済みジーンズを回収し、再繊維化して新たなジーンズを製造、販売することによって廃棄が生まれない仕組みとなっている。
・建築業界「フローティング・コミュニティという海面上昇対策」
【概要】
気候変動に伴って、低い海抜の海面上昇が懸念されるオランダでは、現在、欧州委員会、オランダ政府、アムステルダム市から支援を受けた、「浮く」コミュニティの民間プロジェクトが実験的に行われている。自給自足した電力のコミュニティ内での共有やコミュニティファーム、自転車などの電動モビリティの共有により、個人の使用から全体の共有という考え方への移行を体現している。
・通信業界「ユーザーが修理できるエシカルスマートフォン」
【概要】
オランダ企業が開発した「FAIR PHONE」は、設計段階からサーキュラーエコノミーが実施されているスマートフォンとなっている。誰でも簡単に分解、パーツの交換ができるため、欧州委員会の掲げるサーキュラーエコノミー政策の中の、消費者の権利強化の一つ、消費者が自由に製品を修理することができる、「修理をする権利」を実現している。
Circular Initiatives&Partners 安居 氏 | 事例紹介 |
事例紹介 | プチエコツアー |