セミナー

2020年度 資源循環分科会
第4回 循環ビジネス創出会議 ビジネスセミナー


はじめに

EPOCでは、循環ビジネス振興のため、愛知県と共同で「循環ビジネス創出会議」を開催しています。

今回はプラスチックを巡る環境問題や、海洋ごみ問題・脱化石資源をテーマに、サーキュラーエコノミーに関する講演や、プラ代替新素材、ケミカルリサイクルなどの脱プラに向けた事例発表をZoomで配信いたしました。

またYouTube EPOCチャンネルにおいて2021年3月13日(土)10:00~3月17日(水)17:00の期間で見逃し配信を行いました。

開催日時:2021年3月10日(水曜日)13:30-16:15
開催場所:Zoomオンライン配信
参加者:当日参加112名、後日視聴192名

プログラム

(1)開会挨拶 13時30分~13時35分

(2)基調講演 13時35分~14時25分

「サーキュラーエコノミー時代の新たなビジネス潮流」
講師:一般社団法人サステナブル経営推進機構 専務理事 壁谷武久 氏

(3)事例発表 14時25分~14時50分

①「日本初、世界へ。石灰石から作る新素材LIMEXの挑戦」
 株式会社TBM コーポレート・コミュニケーション本部 マネージャー
 サステナビリティ・アクセラレーター  羽鳥徳郎 氏
②「役割を終えたものが資源になる日~サステナブルが当たり前になる時代に向けて~」
 日本環境設計株式会社 社長室 室長 日比伸一郎 氏
③「培ってきた再生プラスチック技術を、いま、地球の未来のために」
 いその株式会社 技術部技術課 主任 浅野俊哉 氏

(4)質疑応答 15時40分~16時15分

基調講演

「サーキュラーエコノミー時代の新たなビジネス潮流」
一般社団法人サステナブル経営推進機構 専務理事 壁谷武久 氏

【講演要約】
今日の地球環境問題は全人類共通の問題となっていることを認識し、従来の人間活動の在り方を見直し、新たな視点での思考が必要であること、コロナ禍によりその視点からの行動変容がより一層求められていることについてお話いただきました。日本は「2050年カーボンニュートラル」を宣言、世界でも120ヵ国超で同様の動きがあり、地球温暖化への対応を経済成長の制約やコストではなく、成長の機会と捉えるように変容しています。サーキュラーエコノミー(以下CE)は2015年に欧州委員会が発表した循環経済に関する新しい概念であり、従来の3Rが、物質・資源循環による環境負荷の抑制を目的とする環境政策であるのに対し、新たなビジネスモデルの創出を促す産業政策であり、気候変動の観点からも重要であるとされていること、また、民間主導の動きとして、エレンマッカーサー財団の取組と企業の取組事例をご紹介いただき、CE実現に向け企業に求められる役割についてご説明いただきました。

事例紹介

① 「日本初、世界へ。石灰石から作る新素材LIMEXの挑戦」
株式会社TBM コーポレート・コミュニケーション本部 マネージャー
サステナビリティ・アクセラレーター  羽鳥徳郎 氏

【概要】
石灰石を主原料として、プラスチックや紙の代替となり、エコロジーとエコノミーが両立可能な素材であるLIMEXについて、開発に至る背景、同素材の社会・環境への貢献についてご説明いただきました。
同素材はアップサイクルを念頭に製品作りをしているため、使用後はプラスチック代替製品として再製品化が可能であり、他社や消費者と連携したアップサイクルの取組についてもご紹介いただきました。
また、廃プラの海外輸出が困難になり国内での処理と資源化の推進が急務となる中、再生素材を50%以上含む素材としてCirculeXを開発し、世の中に流通しているプラスチック製品やLIMEX製品の適切な再生利用・資源循環を促進する新たな取組についてもご紹介いただきました。

②「役割を終えたものが資源になる日~サステナブルが当たり前になる時代に向けて~」
日本環境設計株式会社 社長室 室長 日比伸一郎 氏

【概要】
「あらゆるものを循環させる」をビジョンに掲げ、様々な製品の回収~リサイクル~再製品化について様々な企業と連携した取組事例についてご紹介いただきました。サステナビリティにはテクノロジーとエモーショナル(皆にどうやって参加してもらうか)が必要であり、物と人の価値・行動にはストーリーが必要とし、“消費者参加型”で“貢献が見える”「エコ」がこれからの主流になると考えのもと、参加の仕組み作りから、そこから生まれる物の価値の伝え方について、事例とともにご説明いただきました。
またコロナ禍においては、新しい価値観であるニューノーマルをメインに考えながら、SDGsやサステナブルの活用を考えることが求められるとし、人の想いを繋げる取組事例についてもご紹介いただきました。
自社・自分だからこそできるストーリーのある行動を通して、様々な主体が連携しできることを考えることが重要とご提案いただきました。

③「培ってきた再生プラスチック技術を、いま、地球の未来のために」
いその株式会社 技術部技術課 主任 浅野俊哉 氏

【概要】
エコプラスチックと呼ばれる適性選別された各種廃プラスチックをベースに強化剤・機能材・バージン樹脂等を添加し、顧客要求特性に合わせた材料設計により再利用を可能にした材料について、その素材となるリサイクルプラスチックの特徴、同素材を用いた様々な製品での活用事例についてご説明いただきました。
また様々な企業と連携し実現した、廃自動車における解体時の部品の効果的な分解及び解体時間の短縮におけるコスト改善の取組についてご紹介いただきました。
最後に、業界別の樹脂リサイクル市場の現状、自治体と連携したプラスチックゴミの循環型リサイクル活動の取組について、リサイクル材取り扱い企業としての今後の課題について共有いただきました。


一般社団法人サステナブル経営推進機構
壁谷氏

株式会社TBM 羽鳥氏

日本環境設計株式会社 日比氏

いその株式会社 浅野氏