セミナー

2019年度第1回EPOC環境経営先進セミナー
「先進企業の環境経営事例(豊田合成・大日本印刷)」


概要

 社会ニーズの変化に対応するため、企業ではさまざまな環境経営の取組みが行われています。本セミナーでは「先進企業の環境経営事例」と題して2つの講演を開催しました。
 講演Tでは、製造業を代表して自動車部品の製造・販売を主力としている豊田合成株式会社様からご講演いただきました。講演Uでは、情報コミュニケーション等、印刷事業を主力としている大日本印刷株式会社様からご講演いただきました。両社はいずれも日本経済新聞社の環境経営度評価で高い評価を獲得している「環境先進企業」です。また、環境パートナーシップ・CLUBの会員であり、「持続可能な経済社会」を目指す我々の「仲間」でもあります。
 今回のセミナーでは異なる業種の企業から、項目別に具体的な取組みの事例を紹介いただくことができました。参加者の皆様からは、それぞれの取組みについて本音の話を聞けて有意義だったというご意見をいただきました。

開催日時:2019年11月11日(月) 14:00〜16:50
開催場所:マザックアートプラザ4F会議室(名古屋市東区葵1−19−30)
参加者 :51名

プログラム

◆14:00〜14:05 開会挨拶
◆14:05〜15:20 【講演T】 「豊田合成の環境経営について
〜企業風土・人づくりを柱の一つとした環境取組み〜」
講師:長尾 一彦 氏(豊田合成株式会社 環境部 担当組織長 兼 環境部長)

  豊田合成の環境活動の中期計画(第6次環境取組みプラン、〜2020年)と長期計画(TG2050環境チャレンジ)について解説いただきました。管理体制については環境部を社長直轄の組織に位置づけたほか、グローバルで月次管理を実施するなど、取組みの強化を図っています。
 また、具体的な取り組みについて多くの事例を紹介いただきました。「製品への対応」では、製品軽量化の目標値設定や解体を考慮した設計等に取組んでいます。「マネジメント活動」については本社環境部が国内外の各拠点の取組みを支援する推進体制や、環境意識の向上に向けた取組み、環境教育(社員向け・役員向け)のほか、取引先のレベルアップ活動について紹介いただきました。「CO2削減」については、社内ESCO活動の概要(専門チームの発足と環境部と製造部の連携)や生産工程での取り組み事例(生産技術の革新・燃料転換・照明LED化)を紹介いただきました。また、新設備の省エネ促進に向けた仕組みの見直し(事前確認で省エネ評価、30%以上で決済へ)を行うとともに、グローバルで太陽光発電設備の拡大を検討・実施しています。「廃棄物削減」については、工程内での原材料(ゴム)リサイクル装置の開発・導入や、社内の不用品マッチングシステムなどを紹介いただきました。このほか「水資源循環」と「生物多様性保全」に関する取り組みについても紹介いただきました。
 豊田合成における環境活動の戦略や取組みの推進に向けた体制・仕組み、さらには具体的な取組みの事例を項目別に数多く紹介いただき、大変解りやすい講演となりました。

◆15:20〜15:35 休憩
◆15:35〜16:50 【講演U】 「大日本印刷の環境経営」
講師:中込 隆 氏(大日本印刷株式会社 CSR・環境部 部長)

 情報コミュニケーション事業を展開する大日本印刷(DNP)グループにおける「環境」の位置づけ(行動規範や成長領域など)や社会課題に関連する事業リスクの分析結果、環境に関するリスクについて解説いただきました。さらにガバナンス体制や環境方針、事業活動と環境活動の関係などについて紹介いただいたほか、環境マネジメント活動の実態(管理体制・エコ監査・環境目標等)についても詳細な解説をいただきました。
 気候変動問題への対応については、環境目標と実績、イニシアチブへの参加状況(SBT認定の取得・TCFD提言への賛同)について解説いただき、対応の具体策の一例として生産設備のエネルギー見える化システムを紹介いただきました。生物多様性保全活動については、「いきもの強制事業所」認証の取得事例(市谷の杜)や地域と連携した藤前干潟の保全活動のほか、国内の各拠点における取組みについて紹介いただきました。このほか、環境配慮製品とサービスにおける取組については、DNPのGREEN PACKAGING®を例に環境負荷低減による持続可能性の拡大について解説いただきました。
 情報発信をビジネスの中心に据えるDNPの戦略・取組みの中には今後の環境経営のヒントとなる発見があり、参考となる講演となりました。

◆16:50  閉会挨拶
以上