セミナー

第5回EPOC有害化学物質セミナー
「欧州化学品規制REACHの概要及び現状と企業の取組み」


概要

 欧州化学品規制であるREACH規則は、化学物質の総合的な登録・評価・認可・制限の制度であり、EU域内と直接的な関わりのある企業だけではなく、EU域外の多種多様な企業がサプライチェーンを通じて影響を受けざるを得ないものです。予備登録の受付が本年6月1日から開始され12月1日をもって締切られ、本登録に向け新たな情報や欧州化学品庁のガイダンスに基づいた対応が求められています。こうした現状を踏まえ、本セミナーは「欧州化学品規制REACHの概要及び現状と企業の取組み」をテーマとして開催しました。
 セミナーの内容としては、REACH規則の基礎概要及び最新の情報等に関し、経済産業省製造産業局から基調講演をいただき、事例紹介としてREACH規則を含む化学物質管理への企業の具体的な対応について日本電気株式会社(NEC)及び株式会社デンソー(デンソー)の取組みについてご講演いただきました。
 参加者は総勢95名と、多くの方にご参加いただき、REACHに対する関心の高さが伺えました。


開催日:平成20年 12月 3日(水)13:30〜18:00
会 場:産業技術記念館 大ホール(名古屋市西区則武新町4丁目1−35)
主 催:環境パートナーシップ・CLUB(EPOC)有害化学物質分科会
後 援:経済産業省中部経済産業局

<プログラム>

    • 13:30〜13:35
    • 主催者開会挨拶

    EPOC有害化学物質分科会
    (財団法人東海技術センター 性能評価部長)  松永 幹生

    • 13:35〜14:05
    • 基調講演
      「欧州の新たな化学品規制(REACH規則)の基礎概要と巡る状況」
    小林由佳氏

    経済産業省製造産業局
    化学課 新規事業担当  小林 由佳氏

    【講演概要】
     予備知識としてREACH規則の導入背景及び概要説明の他、予備登録の状況、SVHC認可対象候補物質の内容等の説明があり、引き続いて、経済産業省としての対応と事業者への支援並びに産業界における対応状況等について最新情報を含めてご講演いただきました。

    I. REACH規則の導入背景
    II. REACH規則の概要
    III. 経済産業省の対応
    1. REACH規則成立過程における我が国の姿勢
    2. REACH規則成立までの経緯と我が国の対応
    3. 経済産業省の事業者への支援取組み
    IV. 我が国産業界の対応
    1. 日本の主な業界の対応
    2. 日本からEUへの化学品/成形品の輸出状況
    • 14:05〜15:05
    • 第二部:講演 「NECのREACH対応の取組みについて」
    小林 由佳氏

    日本電気株式会社 CSR推進本部
    環境推進部 主任  生田 優司氏

    【講演概要】
     NECとしてのREACH規則への取組みの事例紹介として、NECの事業内容を踏まえ、どのように対応して行くのか、特に膨大な化学物質情報マネジメント体制の構築とグローバルなサプライチェーン情報伝達の実現への課題に対する対応として、アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)が提唱するAIS(Article Information Sheet)、MSDSplus及び情報流通基盤(GP:グローバルポータル)の内容と活用について、NECとしての対応方針を踏まえ具体的にご講演いただきました。

    1. REACH規則の近況
    2. REACH規則への対応でNECが求められること
    3. REACH規則対応におけるサプライチェーン全体での課題
    4. JAMPについて
    5. SVHC含有情報の授受
    6. 今後の予定
    • 15:05〜15:15
    • 質疑応答
    • 15:15〜15:30
    • 休憩
    • 15:30〜16:30
    • 第三部:講演 「デンソーの環境負荷物質管理・削減への取組み」
    水野 朝夫氏

    株式会社デンソー 安全環境推進部
    地球環境室長  渡辺 芳紀氏

    【講演概要】
     デンソーの環境負荷物質管理・削減への取組み事例紹介として、自動車部品メーカーを取り巻く各種環境法規制を踏まえ、デンソーとしての環境負荷物質管理への対応の基本方針(デンソーエコビジョン2015)に基づいた、製品含有化学物質へのデンソーグループとしての対応について、サプライヤーとの協働によるグリーン調達ガイドラインに基づく取組みの具体的な事例についてご講演いただきました。

    I. 会社概要
    II. デンソーの取組み
    1. 背景
    2. 法規要求
    3. デンソーの環境負荷物質への取組み
    4. 製品含有化学物質への取組み
    III. サプライヤー様との協働
    • 16:30〜16:40
    • 質疑応答
    • 16:40〜16:45
    • 主催者閉会挨拶

    EPOC有害化学物質分科会
    (財団法人東海技術センター 性能評価部長)  松永 幹生

    • 16:50〜18:00
    • 交流会(名刺交換会)

     講演会終了後、主催者、受講者及び講師を交え約30名が参加して交流会を開催しました。参加者相互の名刺交換が積極的に行われ、講師の生田先生、渡辺先生への質問が途切れることなく続きました。本年12月1日にREACH規制の予備登録が終了し、本登録に向けた対応が求められる中で、各企業での取組みが具体化しつつあり、講演内容に関する質問や各業界の動向、実際の登録業務に係わる企業の抱える疑問等について熱心に意見交換が行われました。