セミナー

第2回循環ビジネス創出会議
〜愛知における次世代の森林資源活用ビジネスの展望〜


はじめに

EPOCでは、昨年度同様に「あいちエコタウンプラン」を推進されている愛知県と連携し、資源循環型社会の形成を促進することを目的として、「循環ビジネス創出会議」を開催しています。
今回は、林業や木製品の製造・販売を手がける先駆的なビジネス事例を参考に、多くの製造業が立地する愛知県における、豊富な森林資源を有効活用した新たなビジネスの方向性と可能性について考えました。


開催日時:平成23年8月30日(火曜日)13時20分〜16時20分
場所:愛知県産業労働センター「ウインクあいち」5階小ホール1
参加者:118名

プログラム

    • 13時20分〜13時30分 開会挨拶

     

    • 13時30分〜14時 基調報告1

    「持続可能な林業経営のあり方について」

    速水林業 代表 速水 亨氏


    所有林1,070haについて世界的な森林認証システムであるFSC(森林管理協議会)認証を日本で初めて取得した速水林業の取り組みと、循環を前提とした人工林の管理のあり方、持続可能な林業経営のあり方、効率的なシステム経営についてご報告いただきました。
    「科学」の視点で林業を捉えることが大切であるとのお話に、日本の林業は成長の余地がまだ残っていると感じました。他社所有の森林管理を請け負うなどして作業員の雇用を継続し、作業員の技術とモチベーションを維持したり、生産性向上のための独自林道開設や機械化など、画期的な林業経営の姿を知ることができました。


    セミナーの様子1

    • 14時〜14時30分 基調報告2

    「需要プル型木質ペレット事業」

    木質燃料(株)代表取締役 清水裕登氏


    森林資源日本一の飛騨高山には、間伐材・林地残材・おが屑等の木質バイオマスが豊富にあります。その地域資源の有効活用を目指した木製ペレットによる熱エネルギー供給事業についてご報告いただきました。観光地でもある高山市内のホテルや銭湯での導入例、小中学校へのペレットストーブの導入例は、環境先進都市としてのアピールに有効であると感じました。原油の輸入に頼らず、地産地消でのエネルギーの安定供給が実現すれば、地元経済の活性化にもつながります。


    • 14時30分〜15時 基調報告3

    「あいち木質バイオマスカスケード利用モデルの提案」
    〜間伐材、林地残材活用から木質バイオマスエネルギーまで〜

    フルハシEPO(株)執行役員 研究開発室 室長 前田雅之氏


    木質バイオマスの中でも未利用間伐材に着目し、木製パレットの原材料とすることで付加価値をつけ、カスケード利用している取り組みについてご報告いただきました。
    「伐採・間伐・植林をすることで森が健全に保たれる」と林業関係者が考えているのに対して、消費者は「木を伐らずに植え続けることで森が健全に保たれる」と考えているなど、木材および木製品の流通工程において知識・認識の違いが大きな壁になっている現状についても触れ、大元である森から末端のユーザーである国民までが森林保全や環境について同じ認識を持つことが大切であると訴えられました。国民が一体となって日本の森林資源を利用できるような取組みが行政に期待されます。


    • 15時10分〜16時20分 パネルディスカッション

    「持続可能な林業経営のあり方について」

    【パネリスト】
    速水林業 代表 速水 亨氏
    木質燃料(株)代表取締役 清水裕登氏
    フルハシEPO(株)執行役員 研究開発室 室長 前田雅之氏
    【コーディネーター】
    (財)名古屋産業科学研究所 上席研究員 笠倉忠夫氏


    愛知県は大消費地を控えた木材の流通・加工の拠点であるにもかかわらず、県内の林業生産額は低く留まっていることや農林水産省の「森林・林業再生プラン」について、会場の参加者からも意見を聞きながら活発な議論が展開されました。


    セミナーの様子2