セミナー

EPOC環境リスクセミナー「環境汚染事故未然防止に向けた具体的な取組」


概要

 EPOCでは、過去2年の環境汚染事故の未然防止に向けた普及啓発活動に引き続き、環境リスク管理のレベルアップを目指してセミナーを開催した。
基調講演では、増加する化学事故に対して欧州でのセベソ指令UのOECDを通じた世界潮流への動きが加速されていること、事例1〜3では 国内の環境行政がますます排出事業者に厳しくなり、対策が急務であることが示唆されていた 。

日 時:平成18年12月7日(木) 13:00〜16:30
主 催:環境パートナーシップ・CLUB(EPOC)資源循環分科会
会 場:産業技術記念館(名古屋市西区則武新町4−1−35)
参加者:59名
<プログラム>

13:00−13:05

(開会・主催者挨拶)
EPOC資源循環分科会事務局
トヨタ自動車株式会社 プラント・エンジニアリング部
生産環境室長 樋口正裕

 

13:05−14:05

(基調講演)
「化学物質の事故時放出」(化学災害と環境災害)
神奈川県産業技術センター資源・生活技術部
専門研究員 若倉正英 様

近年、国内における労災が減る一方で化学事故が増加しており、特に 黒煙・水質汚濁・非難等周辺住民に影響を及ぼすケースが増えている。
社会環境により安全許容レベルが明らかに変動している一方で 行政環境は自主保安への移行を指向しており、問題となる企業の安全文化の育成・対応の遅れに対し 行政としても今後必要に応じた柔軟な対策を行う必要があろう。
化学物質や化学プロセスに関して EUでは最近、化学事故が環境事故となった3件(セベソ・ポバール・バーゼル)の重大災害に基づくセベソ指令UをOECDを通じて先進国全部に適用し(GHS,REACHに含め)、これを化学安全の世界潮流としようとする動きがあり、これが本格化するとアメリカ・カナダも同調し、日本にも影響を及ぼすことになろう。(2007年にはジョイントリサーチセンターが試案を作成する。)
一方、堆積廃棄物も酸化や発酵による蓄熱火災の危険性があるが、一旦火災が起きれば周囲の環境汚染を考えると 安易に注水できない難しさがある。

14:05−14:35

(事例1)
「環境管理におけるコンプライアンス問題の現状と課題」
株式会社 エックス都市研究所 環境リスク管理グループ
安全管理研究室 大久保元 様

環境関係の測定データ書換えをコンプライアンス問題としてとらえた事例の紹介があった。事例の改ざんでは人為的(直接)・システム的(間接)な原因が存在したが 経済産業省ではこれらを含め環境規制を遵守するために、公害防止管理をどのように機能させるべきか審議中で 既に5回の検討会を経てガイドラインの取りまとめ段階に入った。この中には測定データの改ざん対策は勿論、操業の停止権限を一部環境管理部署に持たせたり、公害防止管理に関する有資格者の再講習なども検討の対象として含まれている。

14:50−15:50

(事例2)
「廃棄物リスクへの対応」
アミタ株式会社 ソリューション部 ソリューション課 CSR戦略チーム
主任エキスパート 堀口昌澄 様

廃棄物処分に対する排出事業者の義務が法的に厳しくなり、行政処分による罰則を受けるケースが増えてきた。今年度も 廃棄物の性状等に変更が生じた場合の伝達方法を契約書に追加するなど 廃棄物処理法に関して3つの規制強化が三々五々に実施に移された。
行政は、昨今契約書・マニフェストの記載内容に至るまで監視を始め、多くの排出事業者に問題が散見される現状において 早急に優先順位を考えたリーズナブルな対策が望まれる。さらに、法規制はこれだけに留まらず 注意義務違反として 排出事業者が依頼している廃棄物処理業者の状況や最終処分に至る情報を把握する義務を課しており、排出事業者にとって今後ますます厳しい対応が迫られる。

15:50−16:30

(事例3)
「京三電機株式会社の環境事故未然防止活動」
京三電機株式会社 環境企画部
部長 坂本進 様

自社の環境リスク管理を紹介された。京三電機殿では設備・機械の導入前環境影響評価を行うことを義務付けており、点検・緊急異常時訓練は勿論のこと 想定外事例を重視した対策がとられている。また、事故を起こさない識別や異常の早期発見方法、環境災害が発生した場合の対処方法をプロセスごとに詳しく・わかりやすくマニュアル化している。 さらに、安全管理活動は環境管理活動とは切り離せない関係にあることから、両方を考慮した活動を展開している 。