「第35回EPOC意見交換会 ~会員企業のレベルアップ・相互交流~」報告
【概要】EPOC会員企業の環境への取り組みについて情報共有し、会員の更なるレベルアップと会員相互の意見交換の活性化を図ることを目的に「第35回意見交換会」を開催しました。 今回は、東海旅客鉄道株式会社 総合技術本部 技術開発部 企画・技術計画チームマネージャー 増元 康裕(ますもと やすひろ)様をお招きし、「JR東海のCO2排出削減の取り組みについて」をテーマにご講演いただきました。 ご講演では、JR東海の地球温暖化対策の目標設定、CO2排出削減(Scope1、2)の取り組み、資源循環の取り組み、サステナブルな取り組み についてわかりやすく説明してくださいました。 CO2排出削減(Scope1)では、省エネ車両(在来線HC85系:約35%の燃費向上、CO2排出約30%削減、NOX排出約40%削減…2023 愛知環境賞 金賞)の開発・運用、水素動力車両の開発、水素サプライチェーンの構築に向けた取り組みについて、ご紹介くださいました。 CO2排出削減(Scope2)では、新幹線車両の省エネ化(N700S:N700Aと比べて消費電力を7%削減)、在来線車両の省エネ化(315系:211系と比べて電力消費を35%削減)、東海道新幹線における周波数変換装置の静止型化、LEDランプへの取替(駅、踏切、車両区所他の照明設備)、太陽光発電の導入(「リニア・鉄道館」、「浜松工場」)、ペロブスカイト太陽電池付防音壁の導入に向けた実証試験、武豊線:非化石証書によるCO2排出量削減、新幹線GreenEX(出張時のCO2排出実質ゼロ化サービス)という興味深い取り組みをお話くださいました。 資源循環の取り組みでは、東海道新幹線車両に使用されていたアルミニウムを再生して建築材料等に利用する技術開発(再生アルミニウム:新しくアルミニウムを製造する場合と比べてCO2排出量を97%削減)・事業化((一社)日本アルミニウム協会協会賞(開発賞)受賞)されたこと、国鉄時代から古いレールを駅ホームの屋根を支える支柱に再利用されていること、レール造りのプラットホーム上家についても技術開発(レールの柱脚部を補強)により耐震性能を確保することが可能となり、今後もレール造りのプラットホーム上家の使用が可能になったことを説明くださいました。 サステナブルな取り組みでは、環境問題に取り組むにあたって大事なことは「サステナブルなしくみでなければならない(取組みのどこかに無理(例:コスト、要員等の我慢)が生じていれば、そこから綻びが生まれ、長続きしない)」ということをご指摘されました。鉄道は他の輸送機関に比べてエネルギー効率が高く、CO2排出量が少ないという環境優位性があるので、移動手段として鉄道をご利用いただくことで環境負荷の少ない移動が可能になり、まさに「サステナブル」なしくみであると解説くださいました。この他、リニア中央新幹線や鉄道技術の海外展開についても説明くださいました。 ご講演の中で、鉄道会社にとってお客さまが切符を購入される際の空席案内表示(○:空席有、×:満席)で、×が多い方が良いことか?○が多い方が良いことか?、適切な列車本数を設定する際に注目すべきポイント、2024年10月に東海道新幹線が60周年を迎えた際のポスターに関する秘話、ドクターイエロー引退、特別塗装の新幹線(Wonderful Dream Shinkansen)運行(2025年2月21日~2025年9月中旬)といった参加者を魅了する話題にも触れられ、「講演時間があっという間に過ぎてしまった」という印象を話される参加者が大勢いらっしゃいました。 増元様には、ご講演後の意見交換でも、事前質問や会場からの多くの質問に丁寧にご回答いただき、有意義な意見交換会となりました。 【意見交換会】
【交流会】
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