「第29回EPOC意見交換会 ~会員企業のレベルアップ・相互交流~」報告
【概要】EPOC会員企業の環境への取り組みについての情報共有により、会員の更なるレベルアップと会員相互の意見交換の活性化を図るために「第29回EPOC意見交換会」を開催しました。 今回は、日本製鉄株式会社 環境部 部長代理 小杉 健 氏をお招きし、「日本製鉄の環境への取り組み」をテーマにご講演いただきました。 講演は最初に、日常生活の中でどれほど多くの鉄鋼製品が使用されているか、そしてなぜ鉄鋼製品がそれほど多く使用されるのかについてわかりやすく説明していただきました。 同時に鉄を生産するには鉄鉱石から酸素を除去(還元)する必要があり、一般的には炭素を用いる安定的で安価な方法が採用されているため、粗鋼生産量日本1位の日本製鉄様では現状、日本全体の9.1%のCO2(エネルギー起源)を排出していることを教えていただきました。 次に日本製鉄様の環境への取り組みとして、「エコプロセス」、「エコプロダクツ」、「エコソリューション」の3つのエコと革新的技術開発を基本コンセプトとした気候変動対策の推進、廃プラスチックリサイクルなど鉄鋼業以外にも鉄鋼プロセスを活用して資源の有効利用を推進する循環型社会の構築への貢献、各製鉄所における「郷土の森づくり」や製鋼スラグを活用した藻場の再生など生物多様性保全となる環境リレーション活動の推進についてご説明いただきました。 最後に日本製鉄様の経営の最重要課題である2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みとして「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」をご説明いただきました。最終製品の形で社会に蓄積される世界の鉄鋼は今後も増加し続けるため、将来にわたって鉄鉱石の還元による製鉄が必要となり、カーボンニュートラルを実現するにはスクラップリサイクルだけでなく鉄鉱石還元からのCO2発生抑制が必要となることを学びました。数千年続いてきた従来の鉄の作り方を根本的に変え、水素の力で鉄をつくるためには日本製鉄様が独自で取り組んでいる「高炉水素還元」、「100%水素直接還元」、「大型電炉高級鋼製造」の3つの超革新技術開発以外に、カーボンフリー水素、カーボンフリー電力、CCUSの外部環境も整っていなければ実現できないことを教えていただきました。ご説明の前にイラストの映像を視聴して3つの超革新技術開発のイメージが理解できたことで、「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」のスケールの大きさ、達成までのハードルの高さ、そして「鉄と水素で世界の空気と未来を変えていく」日本製鉄の皆さんの熱意を感じることができました。 講演後の意見交換では、事前に参加者から寄せられた多くの質問に対して、一つずつわかりやすくご回答いただきました。また、当日会場で講演を聴講した参加者からの質問にも丁寧にご回答いただき、大変有意義な意見交換会となりました。
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