交流会

2014愛知環境賞表彰式実施報告
表彰式・パネルディスカッション「環境の未来を語ろう!」

【はじめに】

EPOCでは、昨年に引き続き愛知県より受託しました『愛知環境賞』の表彰式を開催致いたしました。
『愛知環境賞』とは、資源循環や環境負荷の低減を目的とした、先駆的で効果的な<技術・事業・活動・教育>の事例を、企業、団体及び県民から募集し、優れた事例に対する表彰を行うとともに、広く紹介することによって、新しい生産スタイルや生活スタイルを文化として社会に根付かせ、資源循環型社会の形成を促進するもので、本年は52件の応募を頂きました。
本年は創設より10回目にあたり、10周年記念イベントとしてパネルディスカッションを行いました。名城大学の水尾先生をコーディネーターにお迎えし、各界の学識者を始め関係者の方々より、ご意見を頂戴し、「環境の未来について語ろう!」と題して、環境技術を通じた環境の未来について議論していただきました。
その後は、引き続き受賞事例のパネル展示も含めた意見交流会が開催され、受賞者をはじめその他参加者の方々にご交流頂きました。

日時
:平成26年2月19日(水曜)15時15分〜19時30分
会場
:名古屋東急ホテル 3階 「バロックの間」
主催
:愛知県
共催
:中日新聞社 環境パートナーシップ・CLUB(EPOC)
後援
:経済産業省中部経済産業局 環境省中部地方環境事務所
名古屋市 名古屋商工会議所 一般社団法人中部経済連合会
参加者数
:380名

【プログラム】

    • 15時15分〜15時25分

    主催者挨拶

    愛知県知事 大村秀章

    EPOC会長(トヨタ自動車(株)相談役)新美篤志

    【愛知県知事】
    主催者挨拶:愛知県知事 大村秀章
    【EPOC会長】
    主催者挨拶:EPOC会長(トヨタ自動車(株)相談役)新美篤志
    • 15時25分〜16時

    「2014愛知環境賞」表彰式

    【金賞】

    受賞者

    東海旅客鉄道株式会社

    テーマ

    高い環境性能を実現した省エネ型新幹線車両N700Aの開発

    受賞のポイント

    空力特性※1に優れた先頭形状による走行抵抗の低減や車体傾斜システムの導入により加減速の頻度の減少を図るなどの取組により、車両の省エネルギー化を高めたことは、使用電力量削減などエネルギー削減に大きく貢献したとして、その実績が高く評価されました。

    受賞者

    ブラザー工業株式会社

    テーマ

    環境スローガン「Brother Earth」のもと、グローバルな地球環境配慮への取り組み

    受賞のポイント

    製品の待機電力の大幅な削減を実現した「グリーンスタンバイ」をはじめとする環境負荷低減に配慮したものづくり技術や、各国の規制に対応した管理基準を達成するための独自の環境情報システムの構築など、こうした取組をはじめとする同社の環境経営は、地球環境に配慮したものづくりのモデルとして、社会的貢献が大きく、その実績が高く評価されました。

    【銀賞】

    受賞者

    ユニー株式会社

    テーマ

    食品リサイクルループは命をつなぐ環

    受賞のポイント

    店舗から排出される食品廃棄物の発生抑制の一方で、堆肥・飼料への再生利用により、地域の農業者が野菜や豚・鶏卵等を生産し、店舗で販売する食品リサイクルループを最初に構築。さらにその食品リサイクルループ※2を各地に展開する取組は、地域に根ざした循環型モデルとして先駆的な取組であり、他への波及効果も期待できると高く評価されました。

    【銅賞】

    受賞者

    株式会社オプトン

    テーマ

    効果的に環境負荷を抑制するECO油圧駆動源

    受賞のポイント

    油圧モーターと油圧ポンプを直結し、2本の油圧ホースを接続するだけで、シリンダ※3を制御する油圧駆動源を開発。これにより、油圧電磁弁類※4の使用をなくしたことで、従来の油圧方式と比較し、消費電力や廃油の大幅な削減を実現。こうした取組は、省エネ・省資源に大きく貢献するとともに、他への波及効果が大きいと高く評価されました。

    【中日新聞社賞】(活動・教育部門の賞)

    受賞者

    刈谷市立小垣江東小学校

    テーマ

    愛Loveプロジェクト=緑と地域の教育力を活かした命の教育=

    受賞のポイント

    開校時に樹木の少なかった小学校の校庭の一角に学校と地域が一体となって植樹を行い、現在8千本の森とし、この森を中心に地域の学校や社会福祉施設などが連携し、自然や生き物とふれあいの中で感動する心を育てる活動を実施。こうした取組は、環境教育活動のモデルとして、またESD※5の取組として先駆的であり、他地域への波及効果が期待できると高く評価されました。

    受賞者

    学校法人中部大学

    テーマ

    学校法人中部大学のESD(持続可能な発展のための教育)活動

    受賞のポイント

    中部地域のESD拠点※6として、2006年から地域と連携しながらさまざまな関係者が一体となって、学内・学外の研究・活動を推進した取組は、ESD活動のモデルとして先駆的であり、他との連携の点で協働可能性もあり、他地域への波及効果が期待できると高く評価されました。

    【名古屋市長賞】(技術・事業部門の賞)

    受賞者

    株式会社川本製作所

    テーマ

    超省エネ 次世代給水ユニット「ポンパーKFE形」

    受賞のポイント

    ポンプ効率改善と業界初のIE4相当モーター※7を搭載し、独自のエコ運転機能を兼ね備えた、給水ユニット「ポンパーKFE形」を開発。こうした取組は、省エネとCO2削減に大きく貢献する先駆的な取組であり、他の業界への波及効果や社会的貢献が大きいと高く評価されました。

    【優秀賞】(事業・技術)

    受賞者

    兼房株式会社

    テーマ

    木材加工用にコーティングを施した節電工具

    受賞のポイント

    従来の木質材料加工用刃物より、高い耐摩耗性と耐食性を両立させた新しいコーティング技術の開発により、切削動力の低減による消費電力の削減、工具の耐久性向上により寿命の延長を実現。こうした取組は、省エネや省資源に大きく貢献するとともに、他への波及効果が期待できると高く評価されました。

    受賞者

    有限会社信和電設

    テーマ

    スーパー銭湯等で使用されている「小型ボイラー」に特化した独自の「廃熱回収システム」の開発と大幅な省エネ効果の達成

    受賞のポイント

    小型ボイラーの煙突から排出される高温排ガス(約280度)から、効率よくお湯として熱エネルギーを回収し、再利用する廃熱回収システムを開発し実際に導入した取組は、先駆性が高く、省エネ・省資源に大きく貢献した点で高く評価されました。

    受賞者

    株式会社アイ・アンド・ティー

    テーマ

    コンプレッサーエアー不要小型、軽量の電動吸着ユニット「IEVシリーズ」

    受賞のポイント

    部品の保持や搬送工程に使用する吸着装置において、従来までの圧縮空気を急速に排気し負圧を得る方式から、ダイヤフラム式真空ポンプ※8を活用した電動吸着ユニットを開発したことは、省エネルギーとCO2の削減に大きく貢献するとともに、他の業界への波及効果が大きいと高く評価されました。

    【優秀賞】(活動・教育)

    受賞者

    株式会社古紙畑

    テーマ

    主婦が「何時でも・気軽に・話のついでに」古紙を捨てられる場所「古紙畑」を提供する

    受賞のポイント

    アームロール車※9をはじめとする専用収集車を導入するとともに、収集場所におけるスプリンクラーによる防災対策や、監視カメラによる持ち去り対策など、安全性を確保した24時間いつでも回収可能な古紙回収ステーションを県内に展開した取組は、環境性や安全性を兼ね備えた社会貢献の大きいビジネスモデルとして高く評価されました。

    【優秀賞】(事業・技術)

    受賞者

    株式会社ダイセキ環境ソリューション

    テーマ

    新技術とコンソーシアムによるバイオ燃料および植物系工業油の製造販売事業

    受賞のポイント

    外食産業等から排出される廃食油を原料としてバイオディーゼル燃料(BDF)※10を製造し、軽油代替燃料として普及させ、グリセリンなどの副産物についても土木系材料として使用する取組を広域展開した取組は、CO2排出削減や省資源化に大きく貢献するとともに、社会的貢献が大きいと高く評価されました。

    受賞者

    名古屋大学大学院 環境学研究科 都市環境学専攻 奥宮研究室

    名古屋大学施設計画推進室・工学部施設整備推進室

    NPO法人建築設備コミッショニング協会

    テーマ

    名古屋大学研究所共同館におけるトータル・ビルコミッショニングの実践

    受賞のポイント

    産学連携で建築・電気・機械の各分野が横断的に、企画から運用まで全ての段階でビルコミッショニング※11体制を確立し実践した取組は、先駆性があり、エネルギーの削減に大きく貢献するとともに、ビルコミッショニングのモデルとして、建築業界を始めとする幅広い業界への波及効果が大きい点が高く評価されました。

    受賞者

    富士機械製株式会社

    テーマ

    電子部品自動装着機(NXTV)の省電力化

    受賞のポイント

    スマートフォン等の製造工程において、実装点数※12を増加させる超高速ヘッドを開発し、高剛性かつ軽量な構造を実現した電子部品自動装着機に搭載することで、単位時間あたりの装着数の増加や消費電力の大幅削減を実現。こうした取組は、エネルギー削減に貢献するとともに、社会的貢献が大きいと高く評価されました。

    • 16時15分〜17時45分

    【パネルディスカッション】

    「環境の未来を語ろう!」

    コーディネーター
    名城大学 水尾 衣里 氏
    パネリスト
    愛知工業大学 特任教授 架谷 昌信 氏
    独立行政法人製品評価技術基盤機構理事長(NITE) 安井 至 氏
    中日新聞社 論説委員 飯尾 歩 氏
    トヨタ自動車(株) 環境部環境室担当部長 大野 栄嗣 氏
    富士特殊紙業(株) 代表取締役社長 杉山 仁朗 氏

    パネルディスカッションの概要

    本年は創設より10回目にあたり、10周年記念イベントとしてパネルディスカッションを行いました。名城大学の水尾先生をコーディネーターにお迎えし、各界の学識者を始め関係者の方々より、ご意見を頂戴し、「環境の未来について語ろう!」と題して、環境技術を通じた環境の未来について議論していただきました。

    • 18時〜19時30分

    【意見交流会】

    EPOC意見交流会が行われ、受賞者及び多数の参加者の方々が交流を深められました。

    また、会場には14件の各受賞事例の概要をまとめたパネルが設置され、受賞企業・団体のご担当者の方から直接内容についてご説明を頂くことで、参加者の方々には各受賞事例の取組み内容についてより深くご理解いただきました。

  • ※1 空力特性とは、自動車の車体や飛行機の機体などの空気力学的な特性。この場合、走行中の新幹線が空気の流れから受けるさまざまな影響を指す。
    ※2 食品リサイクルループとは、食品残渣を堆肥・飼料化し、その肥料・飼料で栽培された農作物などを食材として循環利用すること。
    ※3 シリンダとは、中空の円筒状をなし、その内部でピストンを蒸気圧やガス圧によって往復運動させる気筒。
    ※4 油圧電磁弁類とは、電気的駆動弁の一種で、電磁石の磁力を用いて鉄片を動かすことで弁(バルブ)を開閉する仕組みを持つもので、流体(油圧)を通す管での流れの開閉制御に用いられる。
    ※5 ESDとは、持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)。
    ※6 ESD拠点とは、国連大学から認定を受けたESD地域拠点をさす。
    ※7 IE4相当モータとは、回転子に強力な永久磁石を組み込んだ同期モータで、最高クラスの効率基準値であるIE4(スーパープレミアム効率)を満足するモーター。
    ※8 ダイヤフラム式真空ポンプとは、圧力や流量、液面などの自動制御用に使われている空気圧で作動する調整弁の往復運動を利用して排気を行う真空ポンプ。
    ※9 アームロール車とは、脱着装置付コンテナ車。
    ※10 バイオディーゼル燃料BDF:Bio Diesel Fuel)とは、廃食用油や菜種など植物油からできる燃料。軽油の代わりとなり、自動車や重機などのディーゼル車に利用される。
    ※11 ビルコミッショニングとは、環境・エネルギー・使いやすさの観点から、使用者の求める要求性能を取りまとめ、 設計・施工・受渡しの過程を通じて、受け渡されるシステムの適正な運転保守が可能な状態であることを検証すること。
    ※12 実装点数とは、装置などを構成する部品を取りつける数。