研究会

2015年度 第2回循環ビジネス創出会議 (ビジネスセミナー)
「多様なエネルギーを活用した循環型都市づくり〜スマートシティ、水素ステーション〜

はじめに

昨今、環境への負荷の低減が図られた循環型社会を構築するため、様々なエネルルギーを活用する循環ビジネスが注目されています。そこで、今回のビジネスセミナーは、「多様なエネルギーを活用した循環型都市づくり〜スマートシティ、水素ステーション〜」をテーマとしています。セミナーでは、(株)日建設計総合研究所 理事 上席研究員の山村真司氏によるご講演と、行政機関及び先進企業2社による事例紹介、及び今後のビジネスの方向性と可能性を検討するパネルディスカッションを行いました。


開催日時 平成27年8月17日(月曜) 13時30分〜16時30分
開催場所 愛知県産業労働センター 「ウインクあいち」 5階 小ホール1
参加者 98名

プログラム

13時30分〜13時35分 開会挨拶
愛知県環境部資源循環推進監 岩田 信吾氏


13時35分〜14時15分 基調講演
「循環型都市形成に向けたスマートシティ実現のための課題と展望」
(株)日建設計総合研究所 理事 上席研究員 山村 真司氏


14時15分〜14時40分 事例紹介1
「企業と取り組む低炭素なまちづくり ―ミライのフツーを目指そう―」
豊田市 企画政策部 環境モデル都市推進課 主幹 酒井 斉氏


14時40分〜15時 事例紹介2
「水素ステーションに関する取り組みについて」
東邦ガス(株) 技術開発本部 技術研究所 環境・新エネルギー技術グループ 課長 伊藤 実希夫氏


15時〜15時20分 事例紹介3
「LIXILの考えるGood Living in とよたエコフルタウン」
(株)LIXIL S&M本部 マーケティング部 ハウジング企画室 室長 吉田 格氏


15時30分〜16時30分 パネルディスカッション


    • 基調講演

    「循環型都市形成に向けたスマートシティ実現のための課題と展望」 
    (株)日建設計総合研究所 理事 上席研究員 山村 真司氏


    近年注目を集めているスマートシティについて、スマートシティ化が進む背景やその課題等をご説明いただきました。スマートシティ化は背景として、世界的な人口増加、アジア地域では経済の急発展に伴い消費エネルギーも増加していること、日本では将来的に高齢化社会が進むことでバリアフリー化の需要が高まり、スマートシティ化が重要になってくることが挙げられます。さまざまなスマートシティの定義・推進方法がある中、EUでの生活の質を高めるコミュニティ構築型スマートシティーの成功事例をご紹介いただき、日本は地域住民が街の将来像に何を期待しているかニーズを把握し、それに基づいたスマート化が必要になってくるとのことでした。これからのスマートシティ作りは、導入する技術成熟度の検討や、対象範囲とコンセプトの明確化、建築・まちづくりからスマートシティを系統的に整理することが重要であり、地域単位で省エネ、創エネ、畜エネを総合的に推進し、再生可能・未利用エネルギー(例:バイオマス)の将来的導入も検討の視野に入れ、エネルギー需給を面として捉えながらマネジメントする次世代スマートシティインフラが必要であると認識することができました。


    • 事例紹介1

    「企業と取り組む低炭素なまちづくり ―ミライのフツーを目指そう―」
    豊田市 企画政策部 環境モデル都市推進課 主幹 酒井 斉氏


    2009年より豊田市が取組んでいる、市民・大学・企業・市が連携して低炭素まちづくりを目指す活動をご紹介いただきました。豊田市では、環境モデル都市として、全国初となる市民の実生活の中での実証を分譲した住宅団地にて実施し、家庭内エネルギーの最適化により排出されるCO2を55-75%削減したり、補助金、減税の導入、水素発電による燃料電池バスの活用など、多くの取組がなされています。国内外への発信として、国連共催・環境先進都市国際会議などでの情報発信も行っており、愛知県において、先進的な低炭素まちづくりが進められていることが理解できました。


    • 事例紹介2

    「水素ステーションに関する取り組みについて」
    東邦ガス(株) 技術開発本部 技術研究所 環境・新エネルギー技術グループ 課長 伊藤 実希夫氏


    環境負荷低減やエネルギーセキュリティー等に貢献するとして注目されている水素の特性や、燃料電池自動車に水素を供給する水素ステーションの概要および取り組み等について、ご紹介いただきました。同社は、2002年から技術実証を重ね、2016〜2017年度にかけては、燃料電池自動車の発売に合わせ、国や愛知県の補助金を活用して、3ヶ所の商用水素ステーションの整備を進めているとのことでした。今後は、環境・エネルギー問題に対応するために、燃料電池自動車と水素ステーションが共に普及拡大していくことが必要であることが理解できました。


    • 事例紹介3

    「LIXILの考えるGood Living in とよたエコフルタウン」
    (株)LIXIL S&M本部 マーケティング部 ハウジング企画室 室長 吉田 格氏


    同社が提案するPassive First(自然を活かす、木材質の有効利用、新しいエネルギーマネジメント)を取り入れたさまざまな住まいの形をご紹介いただきました。断熱、機密、換気を考えた建屋構造で自然の風などをうまく生活に取り込むことで省エネルギーを図り、循環型社会形成に貢献していくことが必要であると理解できました。


    • パネルディスカッション

    コーディネーター
    (株)日建設計総合研究所 理事 上席研究員 山村 真司氏
    パネリスト
    豊田市 企画政策部 環境モデル都市推進課 主幹 酒井 斉氏
    東邦ガス(株) 技術開発本部 技術研究所 環境・新エネルギー技術グループ 課長 伊藤 実希夫氏
    (株)LIXIL S&M本部 マーケティング部 ハウジング企画室 室長 吉田 格氏

    テーマ
    「多様なエネルギーを活用した循環型都市づくり〜スマートシティ、水素ステーション〜」


    パネルディスカッションでは、循環型都市づくりにあたりさまざまな課題についてご意見を頂戴し、会場からの活発な質疑を通して有意義な議論となった。今後、循環型・低炭素社会の実現には、多様な方向性が存在するが、事業者や一般家庭がリサイクル、リユース、省資源・省エネを意識して幅広く取り組んでいく必要がある一方、一般家庭には意識し辛い部分もあるので、事業者が経済価値に換算して提案できるような仕組みづくりも重要であるとのことでした。

    セミナーの様子とパネルディスカッションの様子


以上