研究会

2012年度 第5回循環ビジネス創出会議(ビジネスセミナー)
「再生可能エネルギーと市民ファンド」

はじめに

EPOCでは、「あいちエコタウンプラン」を推進している愛知県と連携し、資源循環型社会の形成を促進することを目的として「循環ビジネス創出会議」を開催し広く社会の資源循環を推進しています。
東日本大震災以降、太陽光発電を始めとする再生可能エネルギーへの関心が高まり、昨年7月から普及促進に向けて固定価格買取制度がスタートしましたが、発電事業は導入時に多額の設備投資を要し、またその事業採算性の確保が不明確という課題があります。
そこで今回は、再生可能エネルギーの発電事業について、市民ファンドを利用した事例をご紹介頂くとともに、本県内での市民ファンドによる事業の普及・拡大の可能性について検討しました。


開催日時 平成25年3月5日(火曜) 13時30分〜16時20分
開催場所 愛知県産業労働センター 「ウインクあいち」5階 小ホール2
参加者 70名

プログラム

13時30分〜13時35分 開会挨拶
愛知県環境部資源循環推進監 宇都木悟氏


13時35分〜14時20分 基調講演
「再生可能エネルギーと市民ファンド」
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 主任研究員 永柳宏氏


14時20分〜14時50分 事例紹介1
「市民の力で、再生可能エネルギーの普及を
〜エネルギーの地産地消に取り組む、おひさま自然エネルギー(株)の挑戦〜」
おひさま自然エネルギー株式会社 取締役 佐藤典生氏


14時50分〜15時20分 事例紹介2
「小水力発電として日本初の市民出資事業『立山アルプス小水力発電事業』」
株式会社自然エネルギー市民ファンド取締役 浦井彰氏


15時30分〜16時20分 パネルディスカッション


    • 基調講演

    「再生可能エネルギーと市民ファンド」
    三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 主任研究員 永柳宏氏


    市民ファンドは、全量買取制度のもと、地域還元の仕組み、意義付けが益々重要になってきていることをふまえ、地域還元の仕組みの先行事例、市民ファンドの主な手法及び匿名組合契約(募集スキームの4つのタイプ)について、ご説明頂きました。また、市民ファンドとは『意志のお金』であり、再生可能エネルギーの普及に加え意志(ミッション)が求められており、再生エネルギー利活用促進と市民ファンドの課題解決のため、市民ファンド、自治体の双方の見識、姿勢、そして多様性が問われている旨、ご説明頂きました。


    • 事例紹介1

    「市民の力で、再生可能エネルギーの普及を〜エネルギーの地産地消に取り組む、おひさま自然エネルギー(株)の挑戦〜」
    おひさま自然エネルギー株式会社 取締役 佐藤典生氏


    市民による出資で太陽光パネルの設置や省エネ機器の導入などが進んでいる長野県飯田市の活動と経験に学び、愛知県でも市民の意思あるお金を集めて、太陽光発電など再生可能エネルギーの普及に挑戦する旨ご説明頂きました。「おひさま市民発電所」「おひさま0 円システム」により太陽光パネルを設置し、工事は、地元中小企業に発注し、資金は市民ファンドにより調達し、売電などの事業によって得た利益を市民に還すという方法により、地域経済の活性化を図り、併せて低炭素社会を実現するとのご説明を頂きました。


    • 事例紹介2

    「小水力発電として日本初の市民出資事業 『立山アルプス小水力発電事業』」
    株式会社自然エネルギー市民ファンド取締役 浦井彰氏


    小水力発電として日本で初めて市民ファンドを活用した「立山アルプス小水力発電事業」についてご紹介頂きました。本事業は、富山県滑川市の地元事業者が運営する、立山アルプスから流れ出る小早月川を利用した流れ込み式の小水力発電で、昨年運転が開始されました。発電事業の経緯や市民ファンドの仕組みや事業スキームについてご説明頂き、更に、市民出資の意義として、マネーのグリーン化、マネーの民主化・市民化およびマネーのローカル化についてのご説明を頂きました。


    • パネルディスカッション

    コーディネーター
    三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 主任研究員 永柳宏氏
    パネリスト
    おひさま自然エネルギー株式会社 取締役 佐藤典生氏
    株式会社自然エネルギー市民ファンド 取締役 浦井彰氏
    テーマ
    市民ファンドを利用した事例を踏まえた再生可能エネルギーによる発電事業の展望と課題、今後の普及・拡大の可能性について


    再生可能エネルギーの採算性、マネーのグリーン化及びバイオマス事業について参加者の皆様から質問を頂戴し、コーディネーター、パネリストの方から適切なご回答を頂き、有意義な議論をすることができました。本県内における、市民ファンドによる事業の普及・拡大の可能性については、課題が残っているものの今後の展望について大きな期待が寄せられました。


以上