研究会

2012年度 第3回循環ビジネス創出会議(現地見学会)

はじめに

EPOC循環型社会分科会では愛知県と協力し、モノづくり県としての産業技術の集積を活かして、先導的で効果的なリサイクル事業を生み出し、資源循環型社会の形成を促進することを目的として『循環ビジネス創出会議』を開催し広く社会の資源循環を推進しています。
今回は、「2012愛知環境賞」を受賞された企業2社を訪問し、資源循環や環境負荷低減の優れた技術や取り組みについて、現場視察を交えてご紹介いただきました。見学会にはEPOC会員、一般応募企業、自治体関係者より、多くの方がご参加され、循環(環境)ビジネスへのご理解をより一層深めていただきました。

開催日時: 平成24年10月22日(月曜日) 8時30分〜18時
見学先: 1.オーエスジー株式会社 八名工場 <愛知県新城市富岡字赤岩>
2.新日鐵住金株式会社 名古屋製鐵所 <愛知県東海市東海町>
参加者: 43名

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    1.オーエスジー株式会社八名工場 <愛知県新城市富岡字赤岩>
    「高速・高能率・長寿命を達成したXパフォーマー転造タップ」
    〜2012愛知環境賞銅賞受賞〜


    【概説】
    同社は摩擦抵抗の低減、切削くずの発生防止、工具の長寿命化を実現しためねじの加工用工具である転造タップを開発し、様々な製品のねじ加工を可能にすることにより、製造業における廃棄物とエネルギー使用量の削減に大きく貢献したことが高く評価され「2012愛知環境賞銅賞」を受賞されました。


    【見学内容】
    はじめに、会社概要、製品群、転造タップの開発に至る経緯とその特徴についてご説明頂きました。転造タップは切削タップと異なり、材料を切削することなく盛上げによるめねじの加工(塑性変形加工)を実現しています。今回の開発品は従来品に比較して、加工時の発熱・トルクを抑えることができるため工具の長寿命化にも成功していると聞き、環境への配慮と合理性を兼ね備えた、高い技術力を認識しました。また、同社における廃棄物削減や省エネ(CO2排出量の削減)あるいは工場緑化の推進、清掃活動といった環境への取り組みについてもご説明頂きました。
    その後、展示室にてタップの他、ドリル、エンドミル、スローアウェイカッターといったOSG製品の展示物を見せて頂きました。今回は、テレビ番組『ほこXたて』にて使用した工具を準備して頂き、実際に番組で使用した工具を間近で見ることができました。展示室での見学の後は実際に工場での製造工程を見せて頂きました。『環境にやさしい工具で環境にやさしいものを作る』とのコンセプト通り、整然とした工場内で環境に配慮された合理的な製造がされていることを認識致しました。

    展示室&TV番組『ほこXたて』にて使用の工具

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    2.新日鐵住金株式会社名古屋製鐵所 <愛知県東海市東海町>
    「一貫製鐵所ゼロエミッション化に向けた総合イノベーション事業」
    〜2012愛知環境賞金賞受賞〜


    【概説】
    同社は再生利用が困難とされていたスラッジ類の完全リサイクル技術を開発・実用化し、それを基に「一貫製鐵所ゼロエミッション体制」を確立したことで、自らの削減はもとより、鉄鋼業を始めとする幅広い業界への波及効果が期待できると高く評価され「2012愛知環境賞金賞」を受賞されました。


    【見学内容】
    はじめに、会社概要、製品、環境に関する取組みについてご説明頂き、受賞内容のご紹介を頂きました。10ヶ所の製鐵所すべてで取組んでいる緑化活動『郷土(ふるさと)の森づくり』をはじめ積極的な環境保全に取組んでおられると共に、廃プラスチックの有効利用技術の開発により、資源循環型社会の確立に貢献されている旨、ご説明頂きました。
    その後、受賞内容の一つである含油スカム・スラッジリサイクル施設に移動し、脱水設備と混練・微粉砕設備によりスカム・スラッジを全量燃料化している処理設備を見学させて頂きました。処理されたスカム・スラッジは全量燃料化され焼却炉の大幅省エネを実施しているとのご説明を頂き、環境の各部門に配慮した合理的な施設であることを認識致しました。また、プロセス・設備の開発に当っては試行錯誤をも繰り返されたとのお話を伺い、スカム・スラッジの完全リサイクルの困難さを認識しました。その後、熱延工場にご案内頂き、製鉄工程を見学させて頂きました。赤く焼けた巨大な四角い鉄の塊が高速で移動し引き延ばされていく光景は圧倒的な“鉄”の存在感を感じさせるものであり、大変迫力がありました。

    環境賞受賞例の展示&熱延工場出口