EPOCフォーラム報告書 環境パートナーシップ・CLUB(EPOC)では、2022年度EPOCフォーラムを開催しました。
プログラム14時00分〜14時05分 【開会挨拶】
EPOC会長 小池 利和 ブラザー工業株式会社 取締役会長 14時05分〜15時15分 【基調講演 ①】
「経営層が知るべきグローバルな環境・サステナビリティ経営へのリスクと実現へのフレームワーク」 公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWF ジャパン) 事務局長 東梅 貞義 氏 最初に世界経済フォーラムが毎年発行している「グローバルリスク報告書」の中で、今後5年から10年の長期的展望でのグローバルリスクとしては、気候変動への適応や異常気象以外にも生物多様性の損失や天然資源危機など環境リスクが上位を独占していることを教えていただきました。
次に世界の生き物の数が2020年には1970年と比べて68%減少し、生き物を自然資本として捉えた場合でも1992年から2014年の22年間で40%近く減少し危機的な状態に陥っており、ネイチャーポジティブは、それを回復させることを目標としたものであることを学びました。 経営者には、このような状況からカーボンニュートラルやネイチャーポジティブを実現するために目標を設定し、情報を開示し、自社だけでなく環境活動を行っている団体などへ加盟して政策を加速させることが、世界的に求められていることをご説明いただきました。 最後に世界経済フォーラム「自然とビジネスの未来」レポート(2020)からネイチャーポジティブはサプライチェーン全体で考える必要があり、調査なども含めると巨額の投資が必要となるが、世界全体での事業機会や雇用の創出につながり大きなビジネスチャンスとなることを学びました。 講演後の質疑応答にも事例を交えてわかりやすくご説明いただきました。 15時15分〜15時25分 【休憩】
15時25分〜16時45分 【基調講演 ②】
「洋上風力発電に関する政策の状況について」 経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー課 課長補佐/風力政策室 室長補佐 小林 寛 氏
洋上風力発電に取り組む背景として、2050年にカーボンニュートラルを実現するためにはCO2の93%を排出しているエネルギー部門の取組みが重要となり、再生可能エネルギーの中でも伸びしろの大きい洋上風力発電は切り札的な存在で、導入量は2030年までに1,000万kW、2040年までに3,000万kW〜4,500万kWが目標となっていることを最初に学びました。
次に一般海域を利用するルールや漁業者等との調整に係る枠組み、電力供給価格も評価した上での事業者の選定などへの対応として2019年に再エネ海域利用法が施行され、その基本原則や区域指定・事業者公募の流れ、促進区域の指定基準の概要をご説明いただきました。 風力発電事業を行うに際して漁業者及び地域との共生が必要となるため、地域・漁業振興策の事例として観光資源・環境学習の場としての活用、メンテナンスも含め風車に関わる人材の地域での育成、洋上風力が生み育てる水産資源の漁場の創出などについてご説明いただきました。 最後にグリーン成長戦略の中に洋上風力も含まれており、浮体式の商用化に向けた技術開発を加速化するためにグリーンイノベーション基金を活用して、要素技術の開発から実証、量産、社会実装まで一気通貫で取組んでいることをお話しいただきました。 質疑応答では海外の状況とも比較しながらわかりやすく丁寧にご説明いただきました。 フォーラムを終えて アメリカやカナダの天候不良、物流費の高騰、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化により小麦の価格が高騰し、小麦粉及び小麦粉を使用した食品の値上げが相次いでいます。気候変動や軍事侵攻により原材料の供給量が減少し価格が高騰していますが、今回のフォーラムを通じて自然資本が減少することによっても将来的に必要とされる原材料の供給に影響が及び、持続可能な社会が維持できなくなるリスクについて理解いただくことができたと思います。
又、原油の価格の高騰で少しでも早く再生可能エネルギーへシフトしなければいけない状況の中で、周りを海で囲まれ、急深な海底も多い日本では浮体式洋上風力発電が地形的に有利で、今後太陽光発電、原子力発電とともにエネルギー分野の柱とするため、次世代の技術開発を加速させ、アジアなども視野に入れながら競争力も高める必要があることにも理解を深めていただくことができたと思います。 EPOCは今後も会員や地域の皆さまのお役に立てるよう、勉強会や交流会等を開催して参りますので引き続きご支援、ご協力を賜りますようお願いいたします。 最後に、ご講演いただきました講師の方々には、この場をお借りしてお礼申し上げます。
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