EPOC総会 基調講演 『ソニーの環境経営』
  場所: ソニー株式会社 顧問(社会環境担当) 佐野 角夫氏
 
独創的な商品、サービスを創出し続け、「世界のソニー」として親しまれるグローバル企業ソニー株式会社の環境経営について佐野角夫氏に講演していただきました。

1. ソニーの企業革新:
・ソニーグループは2000年度連結売上高7兆3千億円(うちエレクトロニクス68%)、社員18万人強、株主60万人のグローバル企業であります。
・1961年に米国で株式の時価発行、連結決算制度の導入、1970年にニューヨーク証券取引所へ上場するなど早くからグローバルな企業展開を図ってきております。
・最近では1994年以降カンパニー制の導入、執行役員制度の導入、上場子会社の100%子会社化、設計、生産子会社のプラットフォーム化、グループ経営の統合と分極化を鮮明にするため本社機能を3つに区分し直すなど、企業を取り巻く環境に迅速に対応すべく常に企業革新を図ってきています。

2. ソニーの環境経営:
(1)「ソニー環境ビジョン」と「Green Management 2005」
・ソニーでは1990年、当時の大賀社長が「これからは省資源、省エネ、リサイクルに全力投球する」ことを宣言し、ここから本格的な環境活動が開始されました。
・2000年には「21世紀は環境経営が企業価値を左右する時代である」との認識のもと、まず「ソニー環境ビジョン」を策定し、それを受けて2001年にはソニー環境中期行動計画「Green Management 2005」を策定しました。2005年までにソニーグループが実行する環境行動と目標を設定しました
・「ソニー環境ビジョン」は理念、コミットメント、3つの原動力で構成されており、ソニーの特徴を踏まえ、特に「技術、製品開発、ネットワーク社会での新しいビジネスモデルの創出」などを通し、ビジネスのライフサイクル全体での環境保全に貢献していくこととしています。
・「Green Management 2005」では環境効率=売上高/環境負荷(ビジネスのライフサイクル全体でのエネルギーと資源量)を2000年度比1.5倍にすることを目標としています。

(2)カンパニーの環境評価制度
・環境経営を加速するため2000年度にネットワークカンパニーの評価項目に環境指標を導入(評価割合は全体の10%弱)し、他のカンパニーにも拡大してまいります。
・評価項目は、環境に関する商品開発、生産工程、技術開発(特許)、マネジメントシステム実行度でカンパニーの性質により重みづけが異なります。

(3)資源収支の把握と環境会計
・環境活動の重点経営資源投入分野を明確にするため、グループ全体の環境負荷(ビジネスのライフサイクル全体でのエネルギー、資源量)と部門別、商品別の環境負荷を把握し、費用対効果を定量化する仕組み(環境会計)をつくりあげました。
・これにより例えばテレビは全社売上の13%にもかかわらず、エネルギー削減効果では75%を占めることがわかりました。

(4)主な環境活動
・グリーン調達・購入 ・
省エネルギー活動
・省資源、廃棄物管理
・工場設計、建設における環境配慮
・製品における環境配慮
・リサイクル
・環境技術開発
・環境教育、リスクマネジメント、コミュニケーション

(5)最後に
今後環境活動を展開していく上で、日本全体として取り組まねばならない重要なことは
・環境格付会社の育成を図ること
・日本発のグローバルスタンダードになるような環境会計基準を作成すること
と考えており、是非実現していただきたいものです。

(注)「ソニーの環境経営」についての詳細は、http://www.sony.co.jp/eco/ 又は「ソニー環境報告書2001」を参照下さい。

講師プロフィール
佐野 角夫
【略歴】
1961年 早稲田大学第一法学部卒業
ソニー商事(株)入社
1965年 ソニー(株)社長室
1974年 ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカに赴任
1979年 ソニー(株)社長室長就任
1990年 取締役就任
1995年 常務取締役就任
1997年 ソニー・プレシジョン・テクノロジー(株)代表取締役社長就任
2000年 ソニー(株)執行役員上席常務(渉外・社会環境担当)就任
2001年 ソニー(株)顧問(社会環境担当)就任

【公職】
・国際IR連盟 常任理事
・社団法人品川労働基準協会 会長
・東京商工会議所 常任顧問
・東京商工会議所 政策委員会副委員長
・経済産業省 独立行政法人評価委員会日本貿易保険分科会委員
・環境省 独立行政法人評価委員会委員
・財団法人家電製品協会 副理事長
・環境省 政策評価委員会委員

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