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ECRIS社

日時 2004年7月12日(月)10:00〜12:30
訪問先 ECRIS社
応対者 HANS HARTMANN (Managing Director、URL:www.gcp.se)

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 VOLVOのリサイクル工場という位置付け。VOLVOでは、スウェーデン国内の解体業者やプラスチック業者とパートナーシップを組んで「ECRIS」(エクリス)を発足。
(※ECRIS…Environmental Car Recycling In Scandinavia)
94年、スカンジナビア半島における環境に優しいリサイクルの実践を旗印に掲げ、プロジェクトとして、リサイクルのパイロット・プラントの操業を開始。自動車の寿命が尽きた後、現実的なリサイクルを進める為には、単により多くの部品をリサイクルすればよいというわけではなく、リサイクル時に環境に与える影響を最小限に抑制するシステムの確立や、リサイクル部品市場を開拓することが重要と捉えている。
同社は、VOLVO(19%)、JB(81%)という2社の出資で成り立っており、ちなみに、JB社は中堅の解体業者であるが、ボルボ等と共同で解体研究を実施するとともに、ELV解体作業において廃油等の処理作業を主に行っていた。従業員26名、取扱車種はVOLVO,ルノーの2車種。03年度は25万台のスクラップ実績ある。
そもそもECRISが生まれたのは、ELV車が市場に出廻り始めたのが発端であり、プロジェクトとしては4年で終了したが「車に合致したパーツの再利用」をキーワードに、1,000uという広い敷地に、325種類のパーツを保有しているとのことであった。
組織は非常にシンプルであり、VOLVO系出身者をトップに8名で構成されている。彼らは、モノを作るには、2通りあると考えており、すなわち、バージン・マテリアル(新たな掘起し物)、再ユースですが、後者をELV車から取り出して、売り物とできるパーツの集合体=倉庫として捉えている。これらのパーツは、ローテクパーツと、回転効率の悪い(遅い)パーツの2種類に分類されるが、特に後者は、メーカが製造・保管にはコストが掛かり過ぎるという欠点があり、再ユース品で賄うのは有効的であった。廃車種のパーツのサプライヤーともなっているのは合点がいくところではないのであろうか。
これらパーツの流れとしては、お客様→ボルボ(パーツ部門)→ECRIS→ヨーロッパの解体業者→ECRIS→ボルボ(パーツ部門)→お客様となっている。この中の解体業者は、主に、デンマーク・ノルウェー・イギリス・オランダに散在しており、ECRISのネットワーク下にあるとのことであった。中古車からの回収はエネルギー消費の減少に繋がるとの考えに立ち、このネットワークを活用し、長納期のパーツ入手の早期化も可能となり、ユーザの利便性を高めることに成功してる。また、これらUSED品には、VOLVOが機能証明を付けており、メーカー後押しによるお墨付きも大きいのではと感じた次第である。
また、ネットワークの仕組みについて質問したところ、各社を競合させ仕入れ価格低減を図りつつ、契約行為を行っているとのことだが、やり取りはEメールでオーダーを出しているとのことで、システム的には先進性を感じることは特になかった。
次に、VOLVOの機能証明の内容を質問したところ、新品と同一の保証内容・買取りパーツの価格は新品の25%安としているとの回答を得た。これら再ユース品の利用により、電気消費は20%減少に繋がったと分析しており、ECRISがGCP(Genuine Classic Parts)と呼ぶパーツ類は、生産終了後10年以上経過したものであり、VOLVO扱いが完了したものを指し、現在80ケ国へ輸出もしているとのことであった。
ECRISのビジネスは、コンセプトの先進性もさることながら、やはりVOLVOというパートナーとの二人三脚がビジネス成功の裏にあるとの印象を強く持った。

 
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