05年1月から施行される自動車リサイクル法に対応し、国内自動車大手の取り組みが強化される中、日本でも「安全」ブランドで馴染みのあるVOLVO社の環境の取り組みについてお話を伺うことが出来た。
さて、VOLVO社は03年度42万台の販売実績があり、その主な販売先は、米国・スウェーデン・イギリス・ドイツとなっているが、日本でもワゴンタイプに人気があるのは周知の通りである。残念ながら、今回バカンスシーズン直後の為、工場見学をすることは適わなかったが、ELVチームのヘルスティーナさんに環境への取り組み等のお話を伺うことが出来た。(※ELV…End-of-Life
Vehicle(廃自動車))
自動車はライフサイクルのあらゆる段階で環境への影響が大きいことを自覚し、環境負荷を最小化すべく設計ツールを導入している他、最先端のクリーン工場で製造しており、85%はリサイクルが可能な状況にある。また、工場から排出される溶媒は世界最小レベルであり、03年には自動車メーカーとして世界で初めて、ISO9001及びISO14001の品質環境基準を満たすマルチサイトの認証を取得している。
ELVは、トヨタ・ホンダ・GMなど対策チームを持つメーカーが多いことからも、その重要性が増してきており、欧州は日本に比べ自動車の所有(現役)期間が長く、18年程度を経て廃車処分になるケースが多い様である。欧州(ユーロ圏)という括りで、ELV取扱基準が出ており、スウェーデンでは、新車購入時に1,700クローネを購入者がデポジットとして支払っており、74年よりスクラップファンド(国有)が設立・運用されているとのことであった。(新車購入
促進策の一環と思わるが)現在ではVOLVOが先頭に立って、デポジットなしでスクラップできる様な働き掛けを進めているとのことである。
スウェーデンという国は、人口800万人、現役自動車450万台、自動車メーカーは、ボルボ・サーブの2社があり、伝統的に企業と国が協力しあう体質を持っていて企業は自主コントロール志向が強いとのことであった。但し、69年統合的製品管理政策(IPP)が謳われると、企業から国への報告義務が生じるようになり、国も自然(空気etc)の汚染度を監視/計測する様になり、守るべき基準も決めるようになってきた。
VOLVOは、75年前から車を作り始め、国内にはヨーテボリの他に2ケ所工場を持ち、国外にもベルギー等に製造拠点を構えている。世界で最もクリーンであると自負されている"溶剤の少ない"塗装工場(Paint
Shop)を稼働しており、乗用車やトラックの塗装工程における、大気中への汚染物質排出量の削減対策を推進している。トルスランダ(スウェーデン)に建設されたボルボの塗装工場は、汚染物質の排出量が自動車業界で最も少ない工場であり、工場全体の約80%の区域で空気の浄化が行われている。同工場における1台当たりの溶剤排出量は2.2kgで、国際規格に照らしても非常に低いレベルを達成しているとこのことである。
89年には、将来のリサイクルを考え、部品が何から出来ているか把握可能なように、素材にマーキングする試みもしており、素材〜生産〜廃車に至るまでの全プロセスにおける環境への配慮を、全社の重要課題として位置付けてきたことがよく分かる。早い時期から環境管理システムにも着目し、独自の環境管理システム「VEMS」も導入されている。
(※VEMS…Volvo Environmental Management System)
また、社内の環境教育にも熱心であり、従業員・サプライヤー・販売店など、関係者を対象に、環境問題に関する対話も積極的に行っており、シャルマース工科大学と共同でライフサイクルアセスメントも実施済みとのことであった。
85年には車種毎に環境バリューを明示しており、ホームページにて公開もされている。
現在ではVOLVO車1台の内、実に85%がリユース可能とのことであった。
拡大生産者責任に対する取り組みについての質問に対しては、輸出先の法律に合う様、排ガス装置を付けるなどして対応いるとの回答があった。サプライヤー(部品供給事業者)への環境適合情報の提供方法は
という質問もあったが、フォード―ボルボが連携して、適応リストを提示し協力要請しているとのことであった。
<参考>
フォードグループは、アメリカビッグ3のひとつフォードが中心となった世界第2位の規模を誇るグループであり、3大市場である北米・欧州・日本にバランスよくグループ企業をもっている。フォードは、グループの中核企業であり、開発全般を担当。(欧州フォードは小型車開発を担当) ジャガーは、ブランドを生かし、高級車販売担当。ボルボはヨーロッパ販売に強味を持ち、マツダは日本販売が中心といえよう。
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