2004年欧州視察トップに戻る
トヨタ自動車株式会社フランス工場(TMMF)

日時 2004年7月15日(水)14:00〜16:00
訪問先 トヨタ自動車(株)フランス(TMMF)
応対者 代表取締役社長 高須利治氏
工場概要 トヨタ自動車フランス工場(TMMF)の概要はこちら

photo    photo
 

環境取組み事例 TMMF(フランス)

■グリーン・クリーン&リーン生産を目指した欧州の最新鋭工場
Toyota Motor Manufacturing FranceS.A.S.(TMMF)は、欧州におけるトヨタ2番目の生産拠点として1998年設立(トヨタ100%出資)、2001年1月に生産開始。フランス工場のあるノール県バランシエンヌは、かつて炭坑と繊維で栄えた町で、ベルギーと国境を接し、TMUK(美国)にも近い立地となっている。また現在、約2,100人の従業員が「ヤリス」(日本名「ヴィッツ」)を年間約15万台生産している。

■環境改善と親和性の高いトヨタ生産方式を展開
フランス工場の基本的な考え方である「グリーン・クリーン&リーン ファクトリー21」は、ムダ・ムリ・ムラを排除し、高品質をつくり込みながら原価低減を進める「トヨタ生産方式」の追求により、環境負荷低減を図っている。その実現に向け、1998年に競合各社の全欧州工場の環境対応を調査し、エネルギー、VOC、水、廃棄物の低減を目指した。

■ライン形状を工夫し、工場エネルギーを30%低減
工程から工程へのつながりや、仕入先から部品搬入動線を改善し、作業効率が上がるレイアウトを考案。工場面積とラインの長さを従来比30%減と努力され、これにより、光熱・搬送エネルギーを約30%減らすことができた。
各工程では、圧縮空気で作動させるエアシリンダー式でなく、最適エネルギーに調整可能な電動サーボ溶接機の導入、単一部品プレスに比べて生産性の高い異種部品同時プレスの大幅拡大使用、塗装ラインのコンパクト化などのエネルギー低減策を採用し更なる低減活動に努められている。

■ISO取得活動を通して環境取り組みへの意識が向上
従業員に対しては、当初から、環境マネジメントシステムに基づくPDCA活動を組み込んだ教育訓練を推進。2001年10月、半年後のISO14001認証取得に向けた活動が始まった。各職場の環境リーダーが「非常に厳しい目標だったが、ISO取得への取り組みが、原料・エネルギー・水の節約や生産性向上に直結し、競争力の強化につながることを学んだ」「活動を通じて、不具合への対応が敏感になった」「職場や製品に対する知識を深める良い機会になった」と語るように、活動を通じて従業員の意識は向上していき、そして2002年3月、計画通りISO14001を認証取得することが出来た。

■生産開始時から埋立廃棄物ゼロ達成
2001年度の活動結果は、埋立廃棄物では、生産開始から最終目標の"ゼロ"を達成するとともにエネルギー使用量、水使用量、VOC排出量についても、計画に沿って着々と削減を進めており、フル操業に到達する2003年には、すべてトップレベルの最終目標をクリアする見込み。
また、廃棄物への具体的な取り組みとしては、梱包材の削減およびリターナブル化、工場内でのプラスチックスクラップの再利用、一般廃棄物のリサイクル促進などを実施され、また、水研工程の廃止や総合排水処理水の冷却水への再使用などで水使用量を節減した。
VOC排出量は、水性塗料や、新塗料システムの導入に加え、リンス溶剤のリサイクルや、中塗り工程への水性塗料の展開を進め、より高いレベルでの低減を目指している。

■さらなるパフォーマンス向上を目指して
高須利治社長は「操業開始後1年3ヶ月でISO14001を認証取得できたのは、初期の構想、知恵の結集、仕入先や従業員の協力の成果です。工場見学者からも『工場がきれい』『ごみ分別が厳正で感心した』などの感想も聞かれます。ただ、ISO取得はさらなる環境パフォーマンスの工場を目指すための第一歩に過ぎません。今後は環境保全の仕組みとマネジメント体系の確立に向け、活動をレベルアップしていきます」と語られるなど決意を新たにされるとともに更なる向上を目指した展開への想いには感銘した次第である。

 
→あとがきへ
前のページに戻る