EPOC総会 基調講演「リコーの環境経営」
  講師:株式会社リコー 社会環境本部 本部長 谷 達雄氏
 
環境経営の実現を目指し、世界で最先端を行くリコーの環境保全活動について谷達雄氏に講演していただきました。

1. リコーの環境活動の考え方
発展途上国が先進国並みの生活をすると、今でも地球3個が必要である。途上国の人 口が今後大幅に伸び、生活レベルを上げてくると、このままでは大変なことになる。
元来地球は生物が活動することによって自然が出来ており、人類社会を成り立たせる ためには生物を保全することが大切である。環境負荷を下げて循環型社会をつくりあげる必要がある。

2. リコーグループの循環型社会実現のための概念
循環型社会(リコーコメットサークル)全ステージをみて効果的に環境負荷を下げると同時に、経済性からみた優先順位づけ、及び社会とのパートナーシップが不可欠である。

3.環境経営
企業における環境保全活動と利益創出活動は同軸でなければならない。これが環境経営である。商品企画、設計、生産、販売、サービスにおける環境保全活動、すなわちライフサイクル環境負荷を考慮した製品づくりは利益創出を追及するQCD達成活動と同じである。

4.環境経営を実現するために
まず第一に環境マネジメントシステム(ISO14001認証取得)確立とすべての事業活動が及ぼす環境影響とその負荷を把握し削減していくことが重要である。
次に経済合理性を確認するために環境会計システムを構築し、環境活動を経営に活かしていくことである。
3つ目はインセンティブの付与、すなわち戦略的目標管理制度の中に環境保全の視点を入れ、部門評価していくことである。
4つ目は社員意識の向上を図ることであり、そのため、社員教育の充実、環境ボランティア活動などを活発に行っている。
そして最後に外部とのコミュニケーション、パートナーシップを図ることであり、そのため、環境報告書、ホームページ、製品情報開示、環境社会貢献を行っている。

5.まとめ
1.環境にやさしい企業活動を行い情報公開によって社会から信頼をいただくことが、21世紀をリードする(生き残る)企業となるための必要条件である。
2.企業が環境保全活動を推進するには、トップの強いリーダーシップと哲学が必要である。
3.環境経営とは、実効のある環境保全活動を継続する為に、経済的価値の追求と環境保全活動が一体融合された経営をいう。全員が一丸となった創意工夫によって必ず実現できるものであり、企業の強化につながる。

(注)「(株)リコーの環境経営」についての詳細はhttp://www.ricoh.co.jp/ecology/ を参照下 さい。
講師プロフィール
谷 達雄
【略歴】
(株)リコー 副理事・技師長
社会環境本部 本部長
兼務 社会環境本部 環境コミュニケーション推進室 室長
兼務 画像システム事業本部 リサイクル事業部 技師長
1970年 静岡大学工学部精密工学科卒業
(株)リコー 入社
1990年 技師長に就任
1992年 副理事に就任
リサイクル設計委員会 委員長に就任
1998年 社会環境室 室長に就任
2000年 社会環境室 環境コミュニケーション推進室 室長 就任
2001年 社会環境本部に組織名称変更 社会環境本部 本部長
【執筆(以下いずれも共著)】
リサイクル技術百科((株)工業調査会)
持続可能リサイクル設計入門(化学工業日報社)
プラスチック エイジ エンサイクロペディア<進歩編>1997((株)プラスチック・エージ)
企業における環境マネジメント((株)日科技連出版社)
エコマテリアル事典((株)サイエンスフォーラム)
実例に学ぶ環境対策実践ガイド((株)工業調査会)
環境マネジメント便覧((財)日本規格協会)
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