セミナー

2018年度第1回EPOC環境経営先進セミナー
「注目企業の環境経営事例(積水化学、みやま)」


概要

社会ニーズの変化に対応するため、企業ではさまざまな環境経営の取組みが行われています。本セミナーでは「注目企業の環境経営事例」と題して2つの講演を開催しました。
講演Iでは、環境経営を先進的に取り組まれている積水化学工業様からご講演いただきました。同社は、環境負荷と環境貢献をそれぞれ自然資本の利用とリターンという総合的な評価指標として環境目標に設定されており、企業の環境経営の先駆けとなっています。
講演IIでは、耐熱性プラスチック部品の成形加工メーカーみやま様からご講演いただきました。社内のコミュニケーションを大切にしている同社では、エコアクション21をうまく活用して、従業員一人ひとりが省エネ・省資源の役割を担い主体的に活動されています。
参加者の皆様からは、それぞれの特徴を持った環境活動の話を聞けて有意義だったというご意見をいただきました。


日時:平成30年9月21日(金曜日) 14時〜17時
会場:マザックアートプラザ4F会議室(名古屋市東区葵1-19-30)
参加者:57名

<プログラム>

    • 14時〜14時05分
    • 開会挨拶
    • 14時05分〜15時25分
    • 【講演I】
      「積水化学グループのサステナブル経営」
              

    【講師】
    三浦 仁美 氏
    (積水化学工業株式会社 経営戦略部 環境経営グループ担当部長)

    【講演概要】
    海外にも多くの生産拠点をもつグローバル企業積水化学グループの環境経営全般についてご講演いただきました。
    経営理念"3S精神" Service, Speed, Superiotity(際立つ技術と品質で信頼を獲得)のもと、経営戦略とESGの取組みは一体化すべきという方針を掲げています。環境への取組みについては、「新中期経営戦略SHIFT2019」、および長期環境ビジョンである「SEKISUIサステナブルビジョン2030」を公表されています。この長期ビジョンでは環境経営の指標として、自然資本を用いているところが先進的です。CO2、排出物、生物多様性などに関して、自然資本の利用およびリターンを算定し、そのリターン率100%を目標にしています。2017年度リターン率実績は84%となりました。このような長期ビジョンの策定と実績が気候変動対策の長期ビジョンについての国際的イニシアチブであるSBT認証へつながったとのことです。また、環境貢献投資を意識的に増やし、現在は売上高比0.3%以上と非常に高いレベルです。最近の開発事例では、再生プラを利用した雨水貯留システム、ゴミからエタノールを生成するバイオファイナリなど興味深い事例が紹介されました。また環境教育にも注力されており、世界こどもエコサミット、次世代教育サイト、環境ウイークなどの開催や、最もエコな人表彰など、環境人材を育成されています。そのような取り組みの結果、ダウジョーンズなどのESG関連の指標でも高い評価を受けておられます。今後も環境先進企業として社会課題を解決するために、付加価値を有する環境貢献製品の市場拡大と創出に努めていくとのことでした。


    講師の三浦氏

    ご講演の様子
    • 15時25分〜15時40分
    • 休憩
    • 15時40分〜16時55分
    • 【講演II】
      「社員の気持ちをひとつにする本来業務の改善」
            

    【講師】
    百瀬 真希 氏(株式会社みやま 代表取締役)

    【講演概要】
    長野県茅野市にあるプラスチックPPS材の加工メーカーみやま様より、エコアクションを活用して従業員と経営層が 一体化して事業活動改善につなげている事例をご講演いただきました。
    百瀬社長が3代目社長に就任された時点では経営が厳しい状況で、顧客へのアピールの目的でEA21を着手されました。当初は既存の取組の範囲で認証をもらえるであろうという姿勢で臨んでいましたが、EA21の審査員から「事業での利益実感がなければ取組む意味がありませんよ」とコメントを受けたとのことです。その後、考えを改めて担当者を各部門から選抜して業務に直結した活動を展開されました。数年間の地道な取り組みがやがて成果を出すようになり、活動は充実してきました。同時に会社のあるべき姿を従業員と一緒に考えようという取組みを行うようになり、日々の改善から、売上高・利益目標の設定まで一体化した活動ができるようになったとのことです。一例として、清掃活動の運営方法を工夫することで、床や天井がきれいになり、工場照明のエネルギーを減らすことに成功したとのことです。また人が最大の資源という考えのもと、従業員の能力や資格保有状況を一覧表にして掲示することで、正社員・パートにかかわらず一人ひとりの意識を変えることに成功されました。これまでの活動が評価され、環境コミュニケーション大賞(優秀賞)や環境 人づくり企業大賞(奨励賞)などを受賞されました。今後も環境の取組と事業の成長がリンクするように活動されていくとのことでした。


    講師の百瀬氏

    ご講演の様子
    • 16時55分〜17時
    • 閉会挨拶